細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】冷たくなっていくから

 

生まれてくる
感じられてくる
もうそれでいっぱいに
なる
始まってしまって
未知の空に
甘いつばきが流れ
雨をみている
雨が薫る

 

こんなもの選んでない
こんなもの見たくない

 

だけどそれは
あるんだよ
悲しいことに出会いながら
私たちは
学ぶしかない

 

目をつぶっても
目の中に広がるよ
こんなに広がっていくよ
私を与えてくれた
すべての命
だから

嫌なものにも
見えるし
呪いたくもなるけど
世界はただ
生まれては
砕かれていく
星々

 

私は生まれてきて
香りに飲み込まれ
優しい感触に包まれ
でも
よくわからなくて
素敵なものに
くらべて
この世界は色褪せている
なんて
自分が選んだ嘘

 

いまわかる
キラキラした感覚が
失われてわかる
激しい夏がすでに
冷えてしまったから
この星は熱死
迎えるとしても
私たちは力を奪われて
冷たくなっていく
すべてお芝居に見えるのは
私に感じる力がないから
もう冷たくなっていくから
なっているから
匂いと味を奪われて
きらきらと
綿毛や胞子が消えていくの

 

ひとりだから
ひとりだから
愛さえ知らないから
ひとりだから
ひとりでさえ無いから
無いから
あたたかさを求めようとしても
人は
この世界のぬくもりを
奪った

 

宇多田ヒカルの曲を聴きながら