【詩作品】人間の着物
ごまかさないでいると
胸が痛い
胸が痛いまま
生きるのは辛い
だけれど
生きようとして
ごまかせば
痛みさえ忘れてしまう
そうして
どんどん死んだ部分が
増えていく
私の顔は
どんどん浮腫んで
画面をはみ出している
私はどんどん大きくなる
すでに感じられぬ痛みが
人間の着物を来て
歩いている
そう思いたくなくて
散漫な夢を見る
暗い天蓋に
新しい雨が
滅びの星
焼け残る空
あたたかい
その歓びを
忘れずにいたら
温度だけは
確かに忘れずに済む