【詩作品】透明な声、鉛色の空洞で
あたたかい週の次に
冷たい風が吹いて
空は鉛色に深く
宇宙を映していた
公園で笑う、3人の子どもたちを見ながら
私はマスクをつけて
町をすり抜けていくのだ
明日がわからないことが
不幸じゃない
笑えないから
生きられないわけじゃない
笑おうと無理にする
くらいなら
気持ちの重さを感じるだけでも
いい
川べりに立つ
列車が
広い世界で地面を叩いている
ただ叩いている
毎日の空洞に
広がる音が
空っぽで何が悪い
これまでだって空っぽで
空っぽの私は
ただ怯え泣き
尊大に鼻を鳴らし
どうしてどうしてと
しがみついている
記憶の中をしみだす点と点
私の鎖は千切れて
頭の中
思い出が飛翔する
透明なガラスの
箱の中で
ノートの文字が増え続けている
私の愚痴は万巻のお経よりも長く
透明な声で刻み付けられている
生きるために
ただ重力の坂を
呟きながら
落ちて
やがて反対側へ
夕闇の向こうへ