細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【筆を研ぐ】維新勝利・反大阪市解体連合の敗北を総括する

大阪の選挙、私は何かとてつもない無力感に包まれた。 やはりダメだったかという感じもある。 私は非力であることを認める。 そして私たちは大きな状況把握の間違いをしているのではないかと率直に反省する。

差別反対、人権や社会保障の立て直しのためには、天皇制や日米安保まで見直さないとと考え、勉強をしていた最中だった。 改めて都構想を語る元気はなく、そして、それだけでなく、維新が勝つ理由を考え、その条件をなくさないとと考え暗澹とした。

実は選挙の前、さらに住民投票時からネオリベ国家主義が維新人気の通底にあり、それが都市開発と住民分断を推進する力となっていることを指摘していたが ( 「これは政官財界が考え出した完全犯罪ではないか。」 http://ishikawakz.hatenablog.com/entry/20150218/1424272305 「安倍政権と大阪都構想は公的セクター解体民営化に向かっています。 小泉改革以上に心配です。」 http://ishikawakz.hatenablog.com/entry/20150420/1429501708 「この国が生き残るには財政を切り詰めて、弱者は消し、国を愛して強くなるしかないと考えてしまう大半の人の意識が安倍政権や維新を支えている」 http://ishikawakz.hatenablog.com/entry/2016/10/07/000759)保守の人々はナショナリズム批判は禁忌らしくまた中道やリベラルの方々も左派の主張は、あまり響かない。 私は左派だから大変苦しかった。 しかし、ナショナリズムなどに引っかかっていたら反動にはなりえても国家権力と連携して、排外的な不安さえ糧に支配を進めるグローバル資本には敵わない。

維新が勝つのは、自治体の解体、民営化、民間委託などの規制緩和で、不動産開発資本や鉄道事業者に市場参入をさせるという新手に出ているからだ。

自民党ではできないと悟れば、新たな勢力維新を作り、荒々しくしかし着実に中央政権や財界に取り入ってきた。 そして安倍政権も、維新と同じ方向を向いている。 政府がグローバルな投機開発資本と連携しなければ生き残れないと考えているようだ。その意味で維新は、政府が直接手を出せない自治体解体の尖兵である。

巨大資本が手が出したくて仕方なかった大阪の公共財産は、観光地や商業一等地にある。 大阪城天王寺公園阿倍野の商店街などなどを市場に食べさせて、大阪経済を潤わせるということだ。

これはタコが足を食べるかのごとき、自己破壊的な延命策なのであり、街は死ぬが関西財界と日本の財界、巨大インフラ事業者、不動産開発事業者は延命する。

もはやそのような厳しい局面に大阪があることを認めず、維新を単にバカだと騒いでいるのはおかしい。 バカではなく、バカのふりをしても、利権構築しながら、まともにリテラシーを身につける機会を失った選挙民の味方のふりをしていると見るべきだ。

新たな地域浮揚策か、オルタナティブな町のあり方を探れない限り維新の一人勝ちは続くだろう。

私もそれを考えあぐねるが、インバウンド収入と、外国人労働者に頼る大阪、日本であるのは間違いなく、新たな多文化共生の理念が必要だし、ナショナリズムと排外主義が国政から一掃され、天皇制を含めた古びた仕組みを解体していかねば、国は軍拡の道しかなくなっている。

維新は表面上、滑稽で、単なる人気取りであるが、長年の不況と高齢化、右傾化で、大阪の地元商店街や労組が持たないと見切り、不動産都市開発に、土地と地位を譲って、退場せよと呼びかけているのだ。

住民投票ではその危機に地元商店会や医師会、組合、古くからの住民が決起しかろうじて、反対が勝った。 しかし彼らとて、地域が破壊され高齢化し兵糧攻めにあわば、抵抗は困難となる。 私は今回の選挙結果をそのように見る。

関西のマスコミもスポンサーにおもねってか、維新に厳しい記事が書ききれない。

もはや自治体の全面解体を止めるには、新たな多文化共生に立って、地域課題を組み上げ、同時に中央を変えるという潮流を作ることが必要だろう。 それには、日本のあらゆる政治勢力も足元を見つめなおして、出直してもらうしかない。

これは原発や基地と同根の課題で、ナショナリズムは事態を悪化させるだけで答えにはならない。

もちろん311以降政治参加をはじめ、しかし十分な変革に助力しきれなかった私自身の不明をも恥じる。

戦いのステージが変わったと見るべきだ。