細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】どこを始まりとして

 

この世界
にんげんでいることが
辛く
生き物に帰れず
暗い港に
微かな
光がにじんでいる

 

生まれて
生まれることができて

髪が伸び
爪が伸び
はじける

語るべきこともわからず
云わずにいることも
できない

 

張り詰めた直線が
曲がり揺らぎ
いつまでも終わらない

 

言葉にしなくてよければ
炸裂した脳裏から
直接扉をあけ
ふるえて律動が
疲れて床にこぼれ
もう休みたい

 

どこで句切れるのか
わからない

 

頭の中のざわめきを
言葉にし
歌にしてきて
この揺らめきはなんだとおもう

 

雨は降り
降り続ける
夜は大きな
海牛のように
空を舞う
島と島の間をくぐり抜け

 

私は船の上で
即席ラーメンをすする

 

ひとりひとりと
交わされぬ言葉に
発光信号があがる

 

人と出会いながら離れ
始まりを走らせて
夢の大地に
文明をやり直せという
寝言が流れ続ける

 

教えてほしい
どこを始まりとして
歩いたらよいのか