3月の夜の扉をたたいている風に
風を追悼する
もう声が出ないのではないか
もう誰もいないのではないか
もうこれから
風が吹いても
風を括りつけて
物質を止めようとしても
私たちはバラバラになっていく
バラバラになりながら退屈して
生命を失い
終わりがない
生命を失う果てしない過程の中で
誰の声も聞こえず
ただそこにあったものを思い出そうとするが
思い出そうとする、その冷気も
新しく次からの風が
飛ばしていく
あのときに
あの壊れが起きたときから
ずっと
何も生きていない
生きていないから
生きようとし続けている
それだけが
かろうじて
私に似つかわしい