細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】禁忌

 

 

始めから
悲しみがあったはず
やと
思っていて
ようわからん
ホンマはどうなんやろか
わからん
だけどそんな気する
知らん間に

 

その悲しみに
ひたる時間
気づいたらそうなってる
頭がぐるぐるして
知らん間に
半日過ぎて
浸っても
近づかれん
空気

 

それが心の
ふるさとに感じられて


そやけど
生きるために
ふざけてみる
目を逸らしてみる
でも
なんか変
ホンマの感情は
向こう側に
あるみたい

 

凍りついたマナザシの
向こう側の
橋の
田んぼの
もっと向こう側の
切ない寝倉

 

私はそんなとこに
住んでなかってんけど
夕焼けが沈むとき
本当に
たった1人に
感じられて
なんで
そんな1人
怖いんか

 

夜が来る
空気の
冷たさと
鋭さが
怖いねん

 

怖いねんけど
それが欲しい
喉が詰まって
息を潜めて
草や川の匂いが
あたりを包んで

 

いつの
どこのことでもない
どこでもない場所やねん
そやけど
そこにまだ私が
いてる気がすんねん
でもその感覚には
近づいては
ならん気もするねん
毎日それでは
生きていかれへんから

 

でもそこに
狂おしいほど
帰りたいねん
でも
どこにもないし
帰ったらあかんねん

それが生きるということ
やと
私は習ってんけど
ホンマは
そんな授業もなかったし
親が禁じたことがない

 

 

けど
凍りついたマナザシで
夕方から夜へ
張りつめた
気配が漂う向こう側に
私は帰りたい
帰ったらあかんから
それは
白昼夢になり
閉じ込められ
張り詰めた
思い出となり
近づくことも
近づかないこともできず
記憶さえ
曖昧で
私は殺されそうで