細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】起きろ!

 

私は金環食のように
真ん中の影に
満たされない気持ちを
隠しながら
あるいていた

影というのはとても
都合がよく
ひんやりしている
あまりにも
透き通り
濃密な
そのなかに
翼を持つ生き物や
かさかさと
歩き回る
虫を隠しながら
なんだか
落ち着いた気持ちになる

私を受け止めて
いただきたいと
思って
って
だから
えっと
苦しくて
光が激しく燃えていて
私が支離滅裂に
気持ちがまとまらなくて
変異して
その場かぎりのエネルギーを
放射してるだけで

ただ思い付きのように
死の不安がさしこんでいる
そういえば
コロナとかの前から
駅の動く歩道を歩きながら
君と話していると
カシャカシャと
不安定に機械が
止まる音が
僕は唐突に
電池が切れてしまうん
じゃないかと

電池が切れた瞬間に
向こう側が失くなってね
私は
厚みと
質量を失うんじゃないかと

波のしぶき
寒い浜
流木
濡れた靴

南無
旅行に行く気持ちが
コロナの前からあまりなかった
もう人混みを歩くのが
辛かった
頭が激しく痛いから

命と物質を
きらきら
ほこりが舞う世界を
競りだした太陽が
切り裂き
分裂し
焼き付くし
異なるものへ変えていく

ほとんど感じられない
真っ暗な宇宙みたいな
そんな世界で
人がからだの中の火に
焼き付くされ

緑と、紺碧の地球を
厚みも質量も失って
眺めている
そんなイメージが
ずっと前から

起きろ!