細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】境目がないから素敵な

言葉を 軽んじて 言葉に足をすくわれ 言葉を 重んじて 言葉に図星を突かれ

絶望は明かりて 夜は暗くて 汚れが落ちなくて たどり着いて まだ先は長くて 涙を拭いて ぬぐう手が ただれて 鼻水を君に見られた ああ 君に見られた 頭の形が 素晴らしいのかもしれない 手のひらに シワとシワを合わせて 見える向こう側に 月が見える

閑散とした広場に 大きな絵を描いて 寂しく過ごす 私の寂しさは難解なのかもしれない ただ泣いているだけの命だったのに 言葉を身につけて 言葉を振り切ろうとして よりキツく締まったよ

そこから移動して

カーペット敷きの部屋で 飛び跳ねる猫を見る あちらにも こちらにも うまく近づけない 自信がないんだよ 自信がないのかな

自信なんて 考えなくていいよね ずっと変わらずに ここから見ていただけなんだ 近づいてはならない という掟を 自分に課し その掟は 世界の律法であるように 思えた

近づこうと 遠ざかろうと すでに結界は破られている

薄暗い欲望だけではない 僕の言葉を溶かす 強い液体が 流れ出している

世界は液状なんだ 雨の夜に 境目がないから 危ないんだ 境目がないから 素敵なんだよ