細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】積載する幻にて

私には示唆するものがない

伏蔵されているものがない

そのような私が私の形の言葉を話すだけで

あなた方が感じる反響は私には聞こえない

私は抱きしめるものがないために

高架下で風だとか通り行くものの残す音を聞いているだけだ

この世界はすべて高架下かもしれない

何がその上に走っているのかわからない

私の言葉がどんなまがまがしいものを載せているかわからない

積載量もわからない

あなたが私を重いと思っていても

私には何も見えない

私の言葉がどんな光り輝く幼な子を載せているかわからない

 

私の言葉が青葉で

露がどこに流れていくだろう

露の中にこの世の無限が寄せ集まっている

はじけ飛ぶ時のまぶしさに

来る夏の、走る姿を見る

古来からなぜか稲妻は走っている

真っ暗い部屋で稲妻を聞いているしかない

古びた石でできた小さな池に色とりどりの鯉が生きていた

その時は祖父も生きていたし

不安であれ、この世界は謎めいていた

今は死に向かって

あるいはいつ滅びるかと人類は考えて

人類が考えていることを考えている私自身のこれは

考えだが

消えていくものを載せていると思っている

古い文庫本の中に

私の性欲が渦巻いている

 

それはいとおしくなく

自分でも気味が悪い

扱うことができないので

自分が人間であることすら否定したくなる

何でも否定することが

人間の、意味のない贅沢で

意味を求める私たち自体が

とても贅沢で

その意味はないのだろうか