青空文庫で久々に漱石の私の個人主義を読んだらやはりとても感動したのでアドレスを貼っておく
大傑作。
こういう心境を人生という難事業を乗り切る誰しもが一度は通過しなければならないように思われる。枕をうまく話して、途中から乗ってくる。
内容は一個だけである。
私自身として生きる。
文学にはそれしかなくそれが反対に全世界に通底する根源なのである。
私小説がどうのといいたいわけではない。
まるで反対である。私という通路を通って、全宇宙を感官するということ。
私の知人に漱石のこの文章のことを聞かせたら
漱石が靄の中をゆくというのは、自分が山歩きで深山の霧の中を行くときに
似ている心境ではないかと言っていた。
また、私の尊敬する亡き人は、漱石のことを大事に考えていた。
その人は思想を学ぶ人であった。
この『私の個人主義』を何年振りだろう、再読し重要な倫理を説いていると思った。
亡くなった人の勘に間違いはなかったと思った。
漱石は日本の文学の、政治の、即ち生の全領域の危機をこの頃にすでに一人で生きていたのではなかろうかと思う。
いろいろ論評を加えたくなったが私の百万弁の贅言より、漱石のほうがうまく話しているので、リンクのみを張る。