【詩作品】素晴らしき不要不急
生まれたら
魂だった
この私に
本当は用事なんてない
急ぐこともない
ただ息をしている
だから息ができないって
確かに恐ろしい
用事なんて作るもんだ
好きな人に会いたくて
友だちと笑いたくて
早く面倒なことから逃げたくて
ちょっとお茶飲みたいだけで
本当はこの世という河原に
サボりに来ただけだ
春の風にウィルスや放射能が
含まれている
うららかな日に
私の心は冷たい
まだ死にたくない
やりたいことはよくわからない
ただこんな
死ばっかりの世界で
不要不急の
お茶を飲んだり
不要不急に
がっかりしたり
不要不急に
ぬか喜びしたい