細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】フラクタル・比べたる・戦いと崩壊

ちがいがある 私とあなたには

やはりちがいがある ちがいがあると 話さなくては それがことばらしく 事実である

ことばです救済です やっかいです

白と黒 白でない何かの無限のひろがり

黒という、果てしなく奥まり 濃度が上がる さいはての 私は重力が生まれる芯のようなもの

ことばはつながるので ことばは芯にとどまらない

ことばは切れるので 新しく始められるし うちすてることも可能です

その自由に 恐れいる

ことばに みんなちがってみんないい というような 場所はない

ことばの外に出るのはたやすくない ことばを 書いても書かなくても 脳みそはつねに ことばの動き通りに 整序されてしまう その前の なんだか やかましい ざわめきみたいなもの

私のはめている 耳栓の手前にある 僕の中は やはり耳の穴 という 指し示した瞬間に

指し示すと あちらとこちら が生まれ 私とあなたの 色や形が 比べられる 比べることなしに 数や雲や しゃもじや 蜘蛛の巣は 生まれない

雲や空は高らかに ゆれうごいている つねに あそことここ 雨から晴れ いずれの地点も平等で しかもちがうのだ

私が1人で歩いている時に あたたかい光の筋が射してきて まあいいや と思った 死に損ないで 死に損ない元年 死に損ない五年と 数えた

死に損ないで何が悪い 死なないことはえらい 私の身体の中から 生きようとするものと 死のうとするものがあり 生きようとするものから死のうとするものを突き落とし 総和では生きようとするものが 上回ってる それは 厳格な算数です

それで だからそれは闘争であり 競技です

その闘争であり競技であるものが あまりに 辛いので みんなを平等にするように 人間は頑張ってきたので

闘争であり競技であるものが 不可避で しかし他方命は それぞれありのまま存在する その矛盾が命そのものから 導き出されて それはあまりにも辛く切なく 深刻であり 命すら脅かし合うのだから 平等が要るのです

手を伸ばす力に 力というわけのわからない 概念に

困った あの川の道には桜が並んでいた その川をはさんで かつて 人は2つに分けられた なぜだ 私は悩んでいた

幼い時 いつも仲良くなれず いつも違いが際立たせられてしまう その中に私の存在の 秘密があるような気がした

気にしなくていいよとか それはあなたが考え過ぎだ という中に 何かがある気がした

ちがいを生み出す力に 可能性と危険が ギリギリ釣り合って 私は小さな体を ふるわし 澄まし 戦慄し 卒倒をこらえていた

私が私である時に 私から引き算されているもの 私が私でない時に 私から引き算されているもの

その解を足し続けて 総和を出し 世界を取り戻したいのだけど