細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】治療空間

音が聞こえすぎる時が多いので
王様の気分になれず
恐れの多い小さな生き物のように
僕というこの体が震えて揺れ続けている

揺れ続けているところに確かなおのれなど
というものがあるのか
わからない けど 日の光を浴びる
ことが恥ずかしいけれど
なぜここにいて、こんなに気温を 
感じているのか
なぜ
ここにいて ここにいることだけで十分ではないのか

問い詰める声 向こうから
この問いの意味を知ることもできず
この問いというものがあることが
生きているということなので
この問いというものがなくなればもう
そこは僕はいないのだろう けど

空に雲が分厚く ところどころ影
向こう側から山が浮かび上がってくる
その向こうにまた雲があり その左右は見通せないくらい木々があり
そのような中で風にさらされ
僕は見通せないでいる 見通せないでいいと思っている

その中で土を踏みしめながら歩くことで
このデスクトップのすぐ近くに
僕が懐かしむ初めての景色が浮かび
ほら なんでしょう もう電線は切れている
ここに何も送られてきていない

無数の大気の中にシグナルが電磁の波が
ノイズが流れている この世界ではもはや感じることができない
無窮の
音のない空を
音がない世界がないわけで
それはそれというのはなんだ
なんだというばかりではなく
水を汲みに行きましょう
けだるい朝日に
誰か僕とともにここに
いる人が
誰かいるのかしら そのような人があらわれるまで
あと何千年かかるのかしら
僕が少しでも新しいはじめの自分に近づけたら
僕が僕以外に気を取られるのではなく
僕をただ僕として
水をただ水として
風をただ風として
雨をただ雨として
涙をほほに近づけて
その手をこのほほにあてて
地面から立ち上がってくるすごい力で
力のない
力で

感じているなんて
夢なのかな
この試練を乗り越えてもなお
すぐ近くに開放があるでしょうか

自分を自分で閉じ込めて
世界が世界を分割してなんで
こんな狭いところにいるのかしら
少しずつ近づきたいな
近づきたいな

向こうが逃げてしまわないように