細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】向こう側に、一瞬の風と鼓動を

頭が痛い日には

なかなか考えることが

できないのだ

だから

痛くない日に考えるのだが

考えていたら

やはり頭が痛い日が

やってくるのだ

考えるということが

すでに流れに逆らい

魚のように流れに向かって

頭を突き出すこと

だから

ある種の抵抗だから

たぶん頭が痛く

なるのだ

 

しかし考えないと

うまく理解できないのだ

考えずにしたことも

結局あれは何だったかと

途方に暮れる

誰にも会いたくない晴れ渡る空に

体の力が抜けるのに任せ

私の体は

布団の上を

微弱なふるえのまま流れ出す

 

芸術ならば

科学ならば

いや問いを持つだけで

部屋の中で

誰にも見られないまま

世界に羽ばたいていける

つまらない

逆説を

述べているのではない

 

向こう側に達しようと

飛ぶときに

必要なのは

ピンと

静かな一瞬の中に

風や満ちる鼓動を聞く

ことなのであって

旅立っても

旅立たなくても

人はその瞬間を

持たなければ

向こう側の

私やあなたに

出会うことが

できないのだから