【詩作品】ささげられたものについて
もう大丈夫と
僕がまっすぐに歩こうとすると
景色は再びゆらゆらしはじめました
今日悲しいことがあって
いやそれは昨日の朝だった
悲しいことがあって
まだ小さな揺れが止まりません。
サイエンスが大事です
ものごとを厳密にとらえようとするとき
はじめて見えないものの存在を知るのですから
そうすると詩だってサイエンスになりえます
あなたの眼差しも
僕のうまくない言葉もサイエンスになるかもしれませんね
そういうふうに芸術について何か言おうとしても
僕の生活はさびれたままです
もう子供であったり若くあったりしてゴマかすということも
できないので
さびれたまま、ただ欲望だけが毎日
を目的もなくぶらついています
あなたには使命があったほうがいいよう
誰にも使命があったほうがいいよ
<ではこの者たちはなぜ死んだのか>
季節は必ずめぐるのさ
<ではあの寒い冬にあの子が死んだのはなぜか>
なぜか
答えられない問いが
ただ僕の行き当たりばったりの生存の中を
そこかしこにゆらめいている
うまく歩けない
<誰が>
僕が
<でも歩いているではないか>
これは歩行ではない
<とにかく前に進めばいいのだ>
なんでそんないい加減な考え方ができる
<進んでみて見えるものもある>
ああそういうことか
だけど一歩も歩きたくないといって見たくもなるのだ
<誰に>
ここで
祈りをささげる
目的のない行為はないが
行為はただどうしようもなくささげられている
目的を超えて
どうしようもなく
ただ
そのままで