細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】Falling rain

雨の中を合羽を着て 自転車に乗っていると 目の前をチラつく雨粒に苛立った 水たちは私よりも新しいのか と考えてから 雨粒も私も 物質という意味では 起源は古く 宇宙から やってきた何かに違いない 宇宙とはと 考えたけれど 物理学に詳しくないのです

雨は次々降ってくる 厳しくなり また緩くなるが 合羽を久々に着たので 落ち着かない 生暖かくカサカサして ビニールの匂いがします

たぶんひとはその人自身として 大切にされなければならないのであり 私たちの心の奥底にあるものは けして乾いてはならないのだ

私は雨の中出かけ 電車に乗り うどんを食べたりした 昼も夜もうどんを食べた 闇が迫る繁華街を歩き ビルの一室でいろいろな ことを語り合った

そのあと 私の奥に流れる血が ざわめいて 夜の繁華街の人びとの様を ひたすらみていた 誰もが 人間として扱われていない という切実なことを アフターファイブに後回しにして 仕事を優先している

人の形をした互いとして 抱き合ったり 笑ったり 水を飲んだりしながら 乾き焼けただれた魂は 癒されない

一番凄惨な場面に立ち到りなお 私たちはなぜ 何よりも早く 何よりも先に 私を私として かけがえのない人として みてほしいと ただ率直に 細密に 声にしないのか

ただ誰のせいでもなく 私は 見捨てられた雨の中を 泣かないのか

私たちは自分が 何を求め 何を感じるのか 知るべきだ

誰かへの詮索の前に 知る知らないの前に 意味の前に価値の前に 私たちの中で 崩れる映像が 向こう側からあらわれている

何も起きないようにし続け 決定的に死に絶えようとしている

川から川へ 私たちは逃げたが 最期にノドが乾き 焼けただれた私たちは ただ その場にへたり込んでいた 例えようのない 暴力を 作り出した時 私とあなたの関係の時空は 歪み それが私たちの 内側を 絶滅で満たした