【詩作品】町を鳥が
この人を許さなくてはならないと思った
何十年も喪に服していたあなたは
あなたが喪に服しているのを自覚していなかった
雨の激しい音の向こうを
鉄道が走り抜け
やがて雲のかたまりを背にして
鳥が飛んだのだ
女たちがあるいていた
バスはまた忙しく来た道を戻っていった
いくつかのさけび声とともに
生まれてくる温もりが家々の中を暖かくしている
用心しなくてはならない
バランスが大事なんです
と医師は言っていた
まったくだとゆっくりと改札機を通り抜けた
本当に元気になれるだろうかと
小石が敷き詰められた
川を渡る美しい子供たちを見送っていた
その濡れた空の中で
頭を前に向けた鳥が
鳴いた
鳴いて、町を通り過ぎた