与党自民党議員にさえ吉田調書を見せない政府の、原子力政策と放射能汚染への対処能力に疑問
この国の原子力政策を転換するかどうかにとって、福島第一原発事故から何を学ぶかは日本の社会にとって大変重大です。
日本が放射能汚染に対応するためにも事故実態の把握は不可欠です。なぜならそれは地球全体の環境破壊にもつながっているからです。
政府は福井地裁の差し止め判決を無視しています。
次に
国会議員はもちろん、よりにもよって最大の被害自治体の福島県の自民党議員ですら調書を見ることができずに、国会で原子力や放射能汚染の議論ができるとは思えません。
政府は情報をブロックしコントロールすることを直ちにやめなければなりません。
秘密保護法が実施されたらさらに事態は悪化するでしょう。
しかし、それは政府が強権を発動しないと
事態がコントロールできないという政府の脆弱さをしめしている
気もしてなりません。
そもそも吉田調書はすでに朝日新聞が入手したわけですから
鼻血叩きもそうでしたが
政府はトンチンカンです。
ただひたすら隠したいそれだけが露骨です。
吉田調書、自民議員も閲覧ダメ 政府 が拒否
政府は3日までに、政府事故調査・検証 委員会が福島第一原発の吉田昌郎元所長を 聴取した「聴取結果書」(吉田調書)の閲 覧を、自民党議員にも認めない考えを示し た。自民党の原子力規制に関するプロジェ クトチーム(PT)の閲覧要求に対し、文 書で閲覧拒否を伝えた。
内閣官房はPTに出した文書で「吉田元 所長からのヒアリング記録を含め、記録は 非公開」とした。政府事故調が調書を国会 事故調に渡す際、吉田氏が「第三者に向け て公表されることは望まない」と上申書に 記したことなどを説明した。
PT事務局長で福島県出身の吉野正芳衆 院議員は取材に「吉田調書は人類共通の財 産。可能な範囲で公開し、二度とあのよう な事故を起こさないよう、教訓として生か していくべきだ」と述べ、引き続きPTで 公開を求めていく考えを示した。
http://www.asahi.com/sp/articles/ASG6351Y4G63UTFK00F.html
これも同じ性質です。国会無視の政府です。
規制委員会の人事も与党を含む国会議員に批判されています。
お金をもらうがもらうまいが利益相反関係にある学者を委員にしてはいけません。
原子力規制委員会の新委員に元日本原子 力学会長の田中知・東京大教授を充てる人 事案について、9党66人の衆参議員(共 同代表・河野太郎自民党副幹事長ら)が参 加する「原発ゼロの会」は30日、安倍政 権に撤回を求める談話を発表した。民主党 政権時代に作られたガイドラインに示され た「欠格要件」に該当すると批判してい る。
民主党政権時代のガイドラインは「直近 3年間に、原子力事業者及びその団体の役 員、従業者等であった者」を委員になる資 格のない欠格要件としている。田中氏は、 ガイドラインが委員への就任を禁じる「団 体」に当たる日本原子力産業協会役員を2 010〜12年に務めた。ゼロの会は談話 で「欠格要件に抵触する。撤回と再検討を 求める」と批判した。
http://www.asahi.com/sp/articles/ASG5Z5JXMG5ZUTFK00S.html
川内原発は火山予知が不可能だと火山予知連の会長がいっています。
再稼働は愚か立地不適格ではないでしょうか。
兆候がわからない以上いくら監視しても、未然に事故から原発を守る対策は不可能ですから。
これも政府が見ない不都合な事実です。
原子力規制委員会は先月、新たに観測機器を 設置して噴火につながる地殻変動の監視を強 化するという九州電力の説明を受け、ほぼ了 承しました。
これについて東京大学名誉教授で火山噴火予 知連絡会の藤井敏嗣会長は3日開かれた定例 の会見で、記者団の質問に対し「巨大噴火は 7300年間経験しておらず、今の火山学で は巨大噴火を中長期的に予測するのは非常に 困難なのが現状だ。将来何が起こるのか監視 すれば分かるというものではないと思う」と 述べ、噴火の前兆を監視することは難しいと いう認識を示しました。
川内原発は運転再開の前提となる規制委員会 の安全審査が優先して進められていますが、 今回の発言は今後の審査に影響する可能性が あります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140604/k10014953961000.html
さらに放射能汚染は風評ではありません。
これも政府が見ない不都合な事実です。
日光市 は28日の市議会全員協議会で、 東京電力福島第1原発事故に伴いことし1〜2 月に初めて実施した子ども対象の甲状腺集団検 診結果を明らかにした。検査を希望して受けた 事故当時市内在住の0〜18歳1713人のう ち、精密検査が必要と判定されたのは21人で全 体の1・2%だった。
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20140529/1609137
なぜこうなるのか
不都合な事実を見たくない理由はお金です。
お金が払いきれないから賠償しない。
また、再稼働するために汚染は過小評価しなければならない。
私たちの未来を燃やして原子力を存在させるために政府は不都合な真実を見ないどころか私たちから覆い被せようとしています。
原告側の怒り爆発
これまで、原発事故被害を理由に東電を相 手取った訴訟は全国13カ所で6000人強の原 告によって起こされているが、このように東 電が理由を含めて主張の内容を明らかにした のは初めてと見られる。だが、原状回復が「 技術的に困難」というだけでなく、「莫大な 費用」を理由に拒否したことに対し住民の怒 りが爆発。中島孝原告団長は「加害者として 甚大な被害を引き起こしたことへの反省も、 被災者救済の責任の自覚もないことがわかっ た」と法廷での意見陳述で憤りをあらわにし た。
東電は福島での被災者の訴えを退けるよう 裁判所に求めている一方、新潟県の柏崎刈羽 原発の再稼働のための新規制基準に関する技 術審査を原子力規制委員会に申し立てている 。そうしたさなかだけに、「重大事故を起こ した際の東電の賠償方針が明らかになった意 義は大きい」と原告弁護団の馬奈木厳太郎弁 護士は指摘する。
煎じ詰めると、「事故を起こしたとしても 、年間20ミリシーベルト以下の住民の被曝に ついては責任を負わない。放射能で汚染させ ても、元の環境に戻す義務はない」という考 えにほかならない。電力会社はこうした姿勢 で原発を運営しているのである。原発再稼働 の議論の際に、その事実を念頭に置く必要が あるだろう。