【詩作品】それは尊いことですか
頭がどんどん悪くなります
諦められなくなります
肝心なところで踏ん張れなくなります
だけど欲は深くなるんです
辛いです
優しくしてほしいとか
暖かくつつんでほしいとか
言い逃れがうまくなります
自分を誤魔化す言葉は増えます
自分を正しいと偽わる言葉が増えて
それだけで宇宙を作れそうな気さえ
します
歳を取れば変わるんだ
しっかりしてくるんだと
思っていました
しかし
違うんです
自分に正直になろうとすると
私が認めないできた
私の身もふたもない気持ちが
あふれることを
もはや抑えることができない
他方でツヤはなくなりますし
ぷくぷくした感じはなくなります
風邪を引いても治りにくかったり
むやみに
虚しかったり
どうしようもなくなります
その時どうしようもなさに
身を埋めるだけではなく
お前
自分を憐れんでるんじゃないぞという
ジサマがあらわれ
憐れんでもよかろうという
バサマがあらわれ
2人で罵りあうのです
その声に埋もれて
私自身の気持ちすら
さめざめ
何やら朝焼けのように
目に眩しい
こんな全てを
誰か聞いてくれたら
と思って
しかし
そんなことしかないのかい
と思います
星々はすごい勢いで
墜落して
山が崩れ
海が裂けるようです
ただただ
ワガママで罪深い
ヌルヌルした愛の言葉を
互いに伝えられずに
文明が自然を壊し
文明が文明をどつき回すのです
そんな瀕死の文明の
ただ一瞬に
私たちが生きているかもしれません
それは尊いことですか