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細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

大阪市とわたしー都構想住民投票可決で大阪市が廃止される前に立ち止まってかんがえたい(1)

大阪市が揺れている。いやはっきり言えば風前の灯火なのだ。

橋下市長は、歴史上初の大阪市をなくす大阪市長になろうとしている。
5月の大阪市民による住民投票で賛成が上回れば大阪市という自治体は消滅することに同意したことになる。

私はこの間、そのあまりの暴挙に驚き、怒りもしてきた。

しかし、振り返って、私は大阪市をどう感じてきたのか、それを見つめてみようと思ったのだ。
停滞した大阪という町に橋下市長は良い意味でもイヤ非常に悪い意味でも新風を巻き起こしてきた。
橋下市長は文楽をこき下ろし、大阪城でモトクロスをやり、果ては松井知事とタッグを組んで大阪城をクリスマスツリーみたいにキラキラにしてしまった。

また大阪市の歴史や平和人権行政を支えてきたピースおおさかやリバティ大阪を破壊しようとしている。

私は橋下市長の大阪市への愛のなさが気になってならない。また、大阪市に愛のないようにみえる橋下市長を好きになってしまう大阪市民の絶望の深さはどこにあるのか途方に暮れる思いだ。

私自身生まれは大阪府北摂である。
およそ40年前に生をうけた。
いまその実家で暮らしている。
大阪府内のあちこちで過ごしたり働いたり
病院にかよってきた。
そしと大阪市内に思い出はたくさんあることを思い返したのである。

例えば、私の両親は徳島県出身だ。瀬戸大橋が出来る前は、フェリーで帰省していた。
フェリーの船着き場は大阪市の南港か、あるいは和歌山港であった。
大阪市南港には父のマイカーで家族4人で車のままフェリーに乗り込んだ。
南港は、私の子供の頃は今のように開発されておらず、殺風景な港だった。
殺風景な港だからダメかというとそうではなく、船着き場の待合室のようなところや、車で接岸されたフェリーに乗り込んでいく感じや船に積み込まれた車から客室にいく感じは、それがいかに雑魚寝で揺られる船室であれ、悪くないものだった。
子供ながらに殺風景なコンテナや車が並んだ港を見て茫漠たる感慨にふけり、また盆暮れに帰省するんだから、待合室や船の中では、甲子園とかくだらない年末の番組がかかっていて、今よりあの時代は、盆というものや暮れというものがある特別な賑わいと空気を感じさせたものである。


この大阪市の港湾開発権限は大阪府に移管する。つまり、特別区民は湾岸に例えカジノや迷惑施設が建設されてもそれは大阪市民の民意ではなく、大阪府の一特別区の小さな民意として足蹴にされる可能性がある。
これは立命館大学の森裕之先生が指摘しており、間違いなく大阪市解体により、市民はまちづくりに参加する発言権の大部分を失う可能性がある。

また、和歌山港に行く際も、難波か新今宮から南海に乗り換えるわけで今のようなラピートが開発されて高速化してるわけではないから、わりかしゆっくりと特急に揺られて和歌山港までいくのである。
その時、難波の巨大さ、ざわざわ感、あるいは今は亡きロケット広場などチープで切ないまでの大阪市内感は胸に今も去来する。

この難波だけでなく大阪市営地下鉄も、大阪府に移管されその命運は橋下市長と松井知事が民意と関係なく決めてしまう。
大阪市が戦前から守ってきた優良な市営地下鉄はやがて市民の手を離れその利益は市民に還元され難くなる恐れがある。
市営地下鉄の生み出す利益は大阪市民の住民サービスの財源となってきた。
しかしそれは大阪府の財源になり大阪府の他の市町村にもあまり還元されない。特別区にもバラバラにばらまかれその割合が、決まっていないのに、大阪市営地下鉄は府の所有になり、事務組合という市民から遠い組織が管轄する。

生まれつきおとなしく怖がりだった私がその喧騒にもまれ、ぎゅうぎゅうの盆前の電車に揺られていく。
周りのおじちゃんやおばちゃんに潰されそうになる。だけど、息をする隙間は空いている。苦しいなあといってるとおそらく大人が場所をあける。
これは昭和という感じだ。ギスギスしているだけではないのだ。

空いていると市内から離れていく南海の車窓から限りのない青空と雲を見る。

また難波や新今宮は、特に新今宮は私の好きなじゃリンコちえの舞台のすぐそばだ。
当時、じゃりんこチエが描いたリアルな空気が、まだ残っていた。その西成区や天王寺公園も、行政や企業によりホームレスが排除され弱者に冷たい町になり観光地化で一変した。

これは都構想推進の橋下市長の西成特区構想では到底解決されない。
特区構想下のまちづくり協議では
西成の地元住民、日雇いや野宿生活者を代弁する団体、地元NPOからの
意見聴取はなされたが
それは深刻な対立を含み
また
橋下鈴木ラインの若者や子育て世代を流入を促進する
誘致型開発型の構想の基本はあくまで変わらない。
むしろ地域の分断は悪化するだろう。新世界の町並みはかわり、昔の新世界の味わいは変わった。
大阪市の都市計画の問題はあるが、この開発権限をより、遠くの大阪府が多大に干渉する都構想により住民の多様なニーズは反映されるのだろうか。