細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

浜岡廃炉ゴミ、100ベクレル以下は一般産廃か?あらためて日本の政府の放射能の扱いを懸念する

浜岡1、2号機がこれから廃炉されますが、100ベクレル以下はクリアランス(それ以下なら放射性廃棄物とみなさないという意味で実際は微量であれ汚染されています・後述)なので、一般産廃として処理される恐れがあります。それが40万トン以上もあります。「第三者機関が放射線物質汚染の有無を確認し 、汚染されたものは埋設。基準値以下のものは 一般廃棄物として処理したり、再生利用したり する。

大阪市もそうですし、瓦礫を受け入れた自治体はターゲットになる心配があります。大阪市は専門家会議で勝手に100ベクレルを基準にしてしまいましたので、あらためてそれは安全、危険以前に不可解であり、不透明で問題だと感じます。
また放射性廃棄物の取り扱いについては適切な国民的あるいは自治体住民の議論がなければならないと思います。
リアランスレベル(すそ切り基準とも呼ばれます)自体導入時から、中川保雄、市川定夫、高木仁三郎や彼が設立した原子力資料情報室の西尾漠氏*1らによる警戒論・反対論がありました。
それを総括し、いったいクリアランスとは何なのか、考えてから、放射能に汚染されたものをなぜスソ切りしようとしたか、事故後さらに数値を緩和したことなども考えてみたいです。


中川保雄(故人・神戸大学教養学部教授・科学技術史専攻・著書『放射線被曝の歴史』)

ヒバクの犠牲の押しつけに対する告発、放射線の危険性の見直しといっそうの解明、放射線防護体制の批判と被曝基準の大幅引き下げ要求はあらゆる反核反原発運動と結びついている。このようなヒバク反対運動の諸内容は、反核反原発運動の基礎を提供している。


このような被曝基準の大幅引き下げを求める運動は、チェルノブイリ原発事故による放射能だけでなく、日本の原発や再処理工場などの原子力施設の運転による環境や食品の汚染、原発廃炉放射性廃棄物の埋め捨て、およびそれに伴って実施されようとしている、ある濃度以下の放射性廃棄物の一般産業廃棄物並みの取り扱い(スソ切り処分)などの今後のヒバクの押しつけに反対する運動を形成し拡大していくことにつながるだろう。また、被曝基準の大幅な引き下げは、原発や再処理工場などの運転を経済的技術的にきわめて困難な状態に追い込むことになろう
(中川保雄『増補・放射線被曝の歴史』明石書店2011)

市川定夫(故人・埼玉大学名誉教授・農学博士・遺伝学専攻)

スソ切り」のもつ意味は、廃炉解体をすることによって、どうしようもない放射性廃棄物がたくさん出る。全部管理区域内のもので、しかも原子炉本体ですから、 あきらかに放射性廃棄物なのです。解体するためには「スソ切り」をせざるを得ない。できるだけたくさんを「スソ切り」したいということです。そして一般市 民をだますために、自然放射線の100分の1位だから大丈夫だと言いますが、鉄材やコンクリート材のなかに入った放射能は測定できません。分厚くて、ごつ い、密度の高いものほど、なかに放射能が入っていても、放射線は外に出てきません。その測定で、安全とされて、「スソ切り」されたものが再利用されると、 そのなかに含まれるものがどんどん外に出てきます。そのことを隠して一般の人にたいしたことはないんだ、非常に低いレベルのものだから、そういう扱いをす るんだと言っていますが、それにだまされてはいけません。
http://www2.gol.com/users/amsmith/koen.html

高木仁三郎(故人・専攻核化学・理学博士・1997年ライトライブリフッド賞受賞者)

日本政府が考えているのは、原発から出てくるゴミに、ある放射能レベルで線を引いて「裾きり」をすることです。政府では「裾きり」ではなく「クリアランス」 と言っていますが、クリアランスレベル、つまり放射性廃棄物をクリアするレベルをつくってしまおうという考え方です
(『原子力神話からの解放』 P284)
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65755897.html

で、なんでこんなとんでもないことをするかというと、100㏃にしたのはお金が安くなるからです。電力会社が廃炉コストを安くするためです。それだけなんです本当に。
ざまあみやがれいさんがおっしゃっているように100㏃にしたのは、97%の原発廃炉ごみを放射性廃棄物としてでなく一般廃棄物とすることで安価に処理する。これだけです。
そのために市川定夫さんや中川保雄さんは非常に怒って、人の命を何だと思っているかと反対したわけです。

●廃棄物のほとんど(約97%)がクリアランスレベル以下であるといえます。

みなさんはこれについてどう思うだろうか。洗脳が解けていない人やまだ疑う力が備わっていない人は、この一行の裏を読めない。逆に読めれば疑う力があるということになる。

これは、

●廃棄物のほとんど(約97%)がクリアランスレベル以下になるように「政府が基準を決めた」

ということだ。

よくままあしゃあしゃあと「であるといえます。」などと言えるものだ。自作自演のくせに。

さてこのクリアランス制度で廃棄物のほとんどがクリアランスレベル以下に設定したことで、どれくらい電力会社が得をしているかを見てみよう。

(※図は「原子力神話からの解放」(高木仁三郎著)P284より引用)

上がクリアランス制度を適用しないケース。下がクリアランス制度を適用したケース。
原子力資料情報室の試算と比べて、5%から10%程度の費用で廃炉を行えるということだ。5%カットじゃないですよ。95%カットです。ほとんどタダ同然
ということです。

廃炉問題を突き詰めると、また原子力村(電力村)の汚い部分がどんどん見えてきます。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65755897.html

つまり本当は100㏃についてもこれだけ議論があったのに原子力村と政府は事故後8000㏃までを一般廃棄物にしてしまった!怒られないはずがない。案の定瓦礫については多くの自治体が受け入れを拒否し、また本当に復興のためか疑問の声が噴出。また栃木や宮城は放射能汚染廃棄物これは事故由来のものですが最終処分場に反対しています。これはなんと8000ベクレル以上です!しかもこれを福島や被災県では焼却しています。こういう安易な扱いもおそらく東電の賠償を圧縮し、さらに原子力を進めるためだとしか思えないのです私には。
中川保雄、市川定夫、高木仁三郎といえば筋金入りの反原発でしたが同時に科学者でもあります。彼らは被ばくを押し付けてお金を儲け、けちる原子力体制を見抜いていたのです。この体質は事故が起きていっそう悪質化しています。

また、実は核のゴミを全国に分散するのではなく立地自治体でという声もあります。先日の福島第一のがれき撤去でも粉じんが飛び、米を汚染した疑いがあります。また土壌なども汚染されておりそれを他所に移したり、汚染されたものをそうでないように見なすことがよいのかどうか考えねばなりません。
人類の矛盾です。

しかし環境省はまず石原大臣の金目発言ついで宮城、栃木の放射能汚染廃棄物の処分場建設に反対され、鮫川村では地権者の同意書を捏造したりしています。また除染事業の不適切なケースも目立ちます。
このまま、彼らに今まで通り放射能を扱わせるのは危険だと思う、今日この頃です。

廃棄物の総量は、廃炉作業が完了する二〇三 六年度までに、除染処理後の原子炉格納容器な どの低レベル放射性廃棄物を含む四十八万四千 六百トンを見込む。一四年度中は、汚染の可能 性が低い放射線管理区域外の廃棄物計五十トン を搬出、一五年度以降に同区域内の廃棄物を搬 出する。

第三者機関が放射線物質汚染の有無を確認し 、汚染されたものは埋設。基準値以下のものは 一般廃棄物として処理したり、再生利用したり する。

地元の石原茂雄御前崎市長は「廃炉までの道 のりには長い時間がかかる。市民が安心できる よう定期的に作業状況を知らせる責務がある」 と話した。

放射性廃棄物の処理先確保が課題

浜岡原発1、2号機で進められている廃炉作業は、商業炉では国内初のプロジェクトとなる 。規模の大きい商業炉は廃炉にも時間がかかり 、完了は二〇三六年度を見込むが、放射性廃棄 物の処理先が確保できるかが課題となっている 。

廃炉計画は、中電が〇八年に発表。三十年以 上運転し老朽化した1、2号機が対象で、〇九 年度から二十七年かけて解体する。廃炉に伴う 廃棄物は計四十八万四千六百トンに上る。

原発廃炉は、福井県敦賀市にある新型転換 炉「ふげん」や茨城県東海村の原子炉「東海発 電所」で進むが、出力五十万キロワット以上の 規模は浜岡が初めて。中電の担当者は「規模が 大きくなる分、廃棄物の量や必要な作業員の数 も増える。廃炉に必要な除染などの技術は確立 しており、安全確保に努めながら作業を進める 」と話す。

浜岡1、2号機の原子炉建屋などの放射線管 理区域では、核燃料を入れる圧力容器や配管な どを解体する。放射線量が基準値以下で産業廃 棄物として処理できるのは四十六万六千八百ト ン。法令に基づいて埋設処分しなければならな い「低レベル放射性廃棄物」は一万六千六百ト ンに上る。低レベルの中でも比較的線量が低い 廃棄物は、青森県六ケ所村へ運ぶ見通しだが、 それ以外は受け入れ先がなく、処理が難航する 可能性もある。

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20140830/CK2014083002000090.html

*1:西尾氏は事故以降の放射性廃棄物についても興味深い論考があります。http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1318