細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

朝日新聞大阪本社は宮古支局長やプロメテウス取材班が広域処理のおかしさを指摘しているのになぜ大阪市長を批判しないのか

この宮古支局長の言葉を朝日は報じている。

http://www.asahi.com/national/intro_m2/TKY201205180461.html
広瀬知事のいう震災ガレキ広域処理の根拠がなくなった : 小坂正則の個人ブログ

震災がれき広域処理にこだわるな
朝日新聞5月19日 ■伊藤智章(岩手・宮古支局長)

震災がれきの広域処理に疑問がある。膨大な運搬費用をかけ、放射能汚染を心配する地域住民と摩擦を起こしてまで急ぐ必要があるのか。
 朝日新聞宮古支局から1キロの宮古港にも、がれきの山がある。昨年11月、東京都への運び出しが始まった。がれきの放射線量は東京の方が高いこともあるのに、反対する人たちがいる。それに比べ、「さすがは剛腕都知事」と最初は感心した。
 でも、東京に搬出するのに1トン当たり処理費4万4千円に加え、輸送費が1万5千円かかると知って考え込んだ。北海道、北陸などへ搬出すれば、さらに輸送費はかさむ。それでいいのか?
 何しろ、県外搬出予定量は岩手が57万トン、宮城は344万トンにのぼるのだ。地元処理分を含めて、経費は全額国費負担。国は2年でまず1兆円を用意している。
 環境省は「岩手はふだんの11年分、宮城は19年分ある。目標の『3年以内の処理』には広域協力が不可欠」と説明する。でも、リサイクルに回すなどしており、岩手でいえば処理が必要なのは半分以下。しかも、被災地も仮設炉などで能力を増強しており、県外に頼む必要があるのはその一部だけだ。
 3年にこだわらず、国費負担を1、2年延長すれば、県外に頼まなくても処理できる計算だ。量の多い宮城県石巻市などは、例外的に集中して広域支援すればいい。
 置き場のグラウンドや港湾の利用が制約されるというが、被災地は広大だ。阪神大震災では3年以内に処理したが、都市部と同列に考えなくてもいいはずだ。「がれきの山をみることで被災者が傷つく」という説明も聴くが、少なくとも私は現場でそういう人に会ったことがない。
 岩手県の岩泉町長や田野畑村長は「ゆっくり地元で処理し、雇用や経済に貢献してほしい」と私に話したが、現状は県が仕切り、首長の意向を反映する余地はない。
 両町村計13万トンのがれきをすべて東京に運べば、運搬費だけで20億円。同村の一般会計の3分の2に当たる規模だ。処理速度を上げるため、大手業者などによる巨大な分別プラントが稼働している。これも期限を延ばせば、もっと地元が参入できるだろう。
 仮設住宅の建設も急ぐあまり、国が費用を持ち、県が発注したところ、断熱材不足など不具合が続出した。がれき処理も同じ構図だ。現場から離れた判断を懸念する。

半年前だが問題の構図は変わっていないどころか
瓦礫の量は減少し続けている。
西日本で唯一宮城の瓦礫を引き受けいていた北九州市
瓦礫が減ったこと(と実は輸送費が大きすぎることを批判され)が原因で
本年3月をめどに受け入れを打ち切る。

県は昨年7月時点で、石巻市周辺の可燃性がれきを約141万トンと見込んでいた。しかし、13年度の予算編成に向け精査したところ、土砂の割合が想定以上に多いことや、がれきになると見込んだ解体家屋が修復で済む家も多いことがわかり、昨年12月、推計量を約51万トン少ない約90万トンに修正した。北九州市と東京都、茨城県の3自治体に委託している計約11万トンを3月までに処理できれば、残る約79万トンは石巻市の仮設焼却炉など県内の施設で全て処理できる見通しが立ったという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130111-00000035-mailo-l04

岩手県は沿岸自治体の処理能力は弱いものの、大阪市へ運搬するために1000キロは広域移動させないといけない。この費用は8億円ですべて西日本の運搬・処理業者が受注している。そしてこの8億円は、大阪府・市の総額16億の予算の半分を占める。
移動させるだけで8億もかかってしまっている。
これは単純に橋下市長の失政ではないのか。

橋下市長は環境省や検討会議の学者の意見を丸呑みにしているだけであり
全国の納税者をつかった補助金事業であるという理解と謙虚さがなく
被災地が本当に必要としているのか検証もしているように見えない。
*1

そして岩手は瓦礫の量が減っている様子なのである。
静岡市では

静岡市がれき受け入れ、計画量2割下回る
(2012/12/11 08:10)

 静岡市は10日、岩手県大槌町からの震災がれき(災害廃棄物)の受け入れ量が、11月末現在で計画の約2割減となっていることを明らかにした。コンテナあたりの重量が見込みより少ないため。市議会生活文化環境委員会で報告した。
 市廃棄物処理課によると、10月18日から11月末までに、沼上、西ケ谷の両清掃工場に搬入した震災がれきは約474トンで、計画の約82%。コンテナの搬入数は135基とほぼ計画通りだが、1基4トンと見込んだ重量が想定を下回り、計画量には達していないという。
 焼却後の灰などに含まれる放射性物質の濃度や、施設周辺の空間放射線量率などについては、いずれも通常ごみの処理時と同程度で推移していると説明した。
 市は本年度末までに3900トンを受け入れる方針を示している。
 廃棄物処理課は今後の受け入れ量の見通しについて「国や岩手、静岡両県で調整し、搬入コンテナを随時増やす予定だが、量は決まっていない」とした。
http://www.at-s.com/news/detail/474549229.html

早く岩手県のがれき総量を環境省岩手県庁は見直すべきだ。
次のような記事もある。

がれき、岩手から埼玉受け入れ終了


予想より大幅減

 岩手県の震災がれきを受け入れてきた埼玉県は20日、岩手県から21日で搬出を終了するとの連絡を受けたと発表した。

 2年間で最大1万1300トンを受け入れる態勢だったが、処理量はその1割の1150トンにとどまる見込みだ。がれきは、岩手県野田村周辺で発生した住宅廃材を細かく砕いたもので、9月から埼玉県内3か所のセメント工場で受け入れていた。

 岩手県によると、がれき量が大幅に減ったのは、木くずのがれきの比重が当初計算と大きく違っていたことに加え、細かい土砂なども混じっており、別の処理が必要となったため。同県環境生活部は「支援をいただき、埼玉県民や地方自治体、セメント工場関係者に感謝している」としている。
(2012年12月21日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/information/20121221-OYT8T00887.htm

 瓦礫が予定より少なかったことは慶賀すべきことかもしれない。しかし当初予定量の1割で処理終了。1万トン以上のガレキ推計と受け入れ計画は妥当だったのか。

東日本大震災:岩手からのがれき、想定の半分4000トンに−−桐生市、今年度 /群馬
毎日新聞 2013年01月11日 地方版
 桐生市は、昨年9月に受け入れを始めた岩手県宮古市のがれきについて、今年度の搬入量は当初想定の半分の約4000トンにとどまるとする見通しを明らかにした。毎日新聞の取材に答えた。

 市によると、昨年9月、東日本大震災で発生したがれきの受け入れを開始。同12月末までに約1552トンを搬入したが、今年度末までに、当初想定の約8100トンには及ばない見通しだ。一方、市は受け入れの計画を見直す予定はないといい、12月までに約2万トンを受け入れたいとしている。【井田洋行】
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20130111ddlk10040156000c.html

なぜ計画を見直さないのか理解できない。月500トンペースしか搬入できていない。量が少ないはずなのだ。本当に被災地支援したいのか。桐生市瓦礫がどうしても欲しいようにしか見えない。


宮古支局長の予見は正しかったというほかはない。
宮古市局長は現地の声を聴き、客観的な意見を述べていたことが証明されている。現地にとっては瓦礫広域処理が肝心かなめの支援策でなかったということを事実が証明しつつある。
朝日新聞はこの宮古支局長の存在を誇っていいはずである。
なぜなら被災者に寄り添って広域処理を考えた優秀な記者がいるのである。
またプロメテウスの罠でもガレキ広域処理は、否定的に扱われている。

大震災と津波がもたらした「がれき」の処理が進まない。環境省は全国に受け入れ先を求める「広域処理」策を唱導するが、要請された自治体は、焼却処理などで高まる放射線の「国の安全基準値」に強い不信感を抱く。他方、被災地では費用と場所の軽減となる、がれきを利用した「防潮林」構想も出た。だが、環境省は広域処理にこだわり、その広報活動を東京の大手広告会社にまる投げ。現場を知らぬマニュアル頼みのずさんな対応に、自治体や地元住民は納得できたのか。
プロメテウスの罠〔17〕 がれきの行方「環境省がじゃまをする」(朝日新聞) - WEB新書 - 朝日新聞社(Astand)


大阪市瓦礫処理が必要かどうか、それは疑わしいということを朝日新聞は東京本社と大阪本社と東北の支局の連携で報道できるはずである。
何しろ自社にデータがあるからだ。
報道できない理由は橋下市長への煮え切らない在阪メディアの態度以外に考えられない。
朝日新聞はここで頑張らないといけないだろう。

そして、ここでしっかり社会のために広く真実を勇気をもって告げるのがジャーナリスムの本懐のはずである。
これまでガレキ反対派はデマ扱いされてきたが
朝日新聞も記事にしているように広告会社を使って
世論誘導=デマゴギーを流していたのは環境省そのものなのだから。
橋下市長の顔を立てて多くの市民に混乱を与えるのに
朝日新聞は加担してはならない。
遅ればせの健闘を祈る。

*1:これは体罰問題の対応と似ている。
文科省通知の趣旨も理解しているように見えず
遺族に謝罪した今もなお「ルール化された体罰なら容認」と言ってみたり
現場の調査や議論が十分でないまま
受験生への十分な配慮もないまま
「今年度の試験中止」を要請してしまう態度と酷似している。
つまり瓦礫であればそれはまず被災者の支援が本旨である。
被災者の支援で重要なのは、事務処理能力の落ちた岩手県沿岸自治体への支援であり、現地被災者の生活支援であり、大阪市に移住してきた東北関東の人々への生活支援である。
そのために何が必要かを考えるのが本来の「絆」であり
これが本筋であり市議会でも指摘されているが全く聞き入れずに
運送費が半分を占める不可解な瓦礫広域処理の強行に至って
反対派市民のみならず、此花区民からの不評を買い
メガソーラーで儲けたお金でかんべんしてと言い出す始末である。
いまだ責任の所在は明確ではなく、巧みに大阪府に責任転嫁したり環境局に責任を転嫁して市民を恫喝し続けている。
また体罰問題の本質は子どもの命が奪われたことであり、体罰をしてまでも成績を高めようとするスポーツ教育の異常性である。
それなのにそこへの本質的な議論もないまま
とにかく目に見える派手なパフォーマンスに走って受験生にしわ寄せを与えている。
市長は部下に命令するだけが仕事なのではない。教育委員会がダメだとしたら、その教育委員会の失態の責任を自身の責任として感じるような責任意識である。教育委員会と敵対して、対処するのではなく、教育委員会の意見を聞きながらしっかり議論するのが仕事である。そういう「引き受ける」感覚がない。