細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

啄木さんすんばらしき

いたく錆びしピストル出でぬ
砂山の
砂を指もて掘りてありしに


空家に入り
煙草のみたることありき
あはれただ一人居たきばかりに


打明けて語りて
何か損をせしごとく思ひて
友とわかれぬ


どんよりと
くもれる空を見てゐしに
人を殺したくなりにけるかな


いと暗き
穴に心を吸はれゆくごとく思ひて
つかれて眠る


草に臥て
おもふことなし
わが額に糞して鳥は空に遊べり


どこへ行くんだ啄木。何がしたいんだ。むしろ何をしてもダメなのに、何かしたくなっちまう。わかりすぎて泣きそうになるじゃないか。
当時これらは「へなぶり」といわれた歌風。
つまりへなへななのだ。こんなのがひたすらあるのを僕は25の頃読んで
26で啄木は死んだのかとバカな感慨にふけってた。
今でも変わらん。今のほうがある意味入ってくる。
最後のやつが好き。四コママンガみたいだけど、そこにあるのは何だ!

※ちなみに中学の時の俺のあだ名は「啄木」。あの有名な肖像写真に似てて名前も一緒で、実際はからかわれてただけだが今思うと名誉な気も。
一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)