細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】厳しくなる冬の雲を

誰からも離れて

まじわれない一つの鳥

それがわたし わたしの証

水の顔を蹴りあげ

空へ高く墜落する

 

自由ってどこまでも落ちていくこと

でしょう

落ちるってそんなに悪くない

でしょう

息のできない高さに行ったら帰ってくる

のですよ

 

そのとき満員電車は暗い地下トンネルを

走っていた

苦しくて苦しくて

僕は倒れそうだった

パニックしょうこうぐん?

ていうの?

冷や汗が出てくるのですね

たっていることができない

 

あの時すれ違ったあなたは

僕に顔を見せようとは

しなかった

 

空が冷たく凍る時

わたしは飛ぶことをやめ

あたたかい島へ戻ろうと

決意した

わたしには

思い出がある

わすれられない

わすれられない

というより

あなたでいっぱいになるの

 

そうね

この世界は目標をなくしたの

矢印が

どこをさしたらいいか

わからない

そうですね

 

僕は駅前から、川べりを歩いた

寂しそうな

水鳥が

くちばしに藻をからませ

すべすべした眼差しが

厳しくなる冬の雲を

見つめていた

 

たぶんもうすぐ雨が降るのかもしれない