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細々と彫りつける

Concering poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】逆回転する時間の中で

全ての雪が溶けると

草は芽吹き

私たちの朽ちた体から

日なたの匂いがし始めた

虫はあの世界の記憶を伝えようと

羽を震わし

蜜を運んだが

ただ無限に風が吹いて

人間の言葉を吹き飛ばしていく

 

負けじと私たちの

朽ちた体から、愛とかバカとか

キライとかが立ち上ってくる

人間がいつ頃滅び始めたか

もはやわからない

私たちは死んだ人間を

生き始める

私たちは逆回転する時間の中で

絶え間なく死に続けている

 

もはや死に続けていることにしか

可能性はないのではないかと

思い始めている

 

死ぬということは

最初の比喩である

あなたはシワが増えるほど

生き生きと新しい優しさをいきはじめる

そこでは

ぶつかるはずのないものが

ぶつかり

すれ違ってばかりの言葉が

響き合う

 

激しく降った雨のあとから

朽ちた体を

乾かす

かつてあの場所も

激しい揺れで

崩れてみえなくなり

新たな建物から

湧き上がる恐ろしい炎

愛する家族らが離散し

あらゆるものが傷んでいる

 

にもかかわらず

此の世の終わりであろうような

あの大災害からも

私たちは生き始め

死に始めている

 

祈り

求め

明かりがともる大地に

暗黒と笑いが

肉をむさぼる

 

なのに

なぜか

心細い

心細くて頼りなくて

空白の時間の中で

絶え間なく

どうしたらいいか

わからなくて

 

終わりのあとにも

私たちはなおも

生きよ

死んでなお生きよ

と言われているようで

暖かくて

肉が

狂おしくて