【詩作品】豊かな暮らし
シャツを脱いで少ない筋肉を見る
起伏の少ない暮らしの
比較的豊かな肉ではある
私の体に、こんなに肉がある
嘘のようである 私にはあまり何もないはずである
仕事も金もないはずである 選んだのか
歩まされたのか 私にすらこの暮らしは
成り行きにまかされたか
そうではないかもしれぬ つっぱねているのである
アズキ色の電車である 店はまだ空いてはいないのだ
私の意識を持っていきようがなく
私の意識を持っていきようがないなら
欲望なんてもっとだ
私の体に肉があることがむずがゆい
ずっとそう生きてきたから
むずがゆさを
擦りつけた壁の向こうに
青く歪んで、
砂場で公園だ 鳩が苦しそうだ
なんでまだ休憩と仕事の時間の裂け目を
汗を拭うシャツの背中の
影に