細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】もうずいぶんと来てしまったから

いつも終った方角から僕は
この世界を奏でている

耐えがたいような烈風に顔面が張り裂けそうだ
そういう作業が僕を
正常な狂気に満たしているとは
よもや医者でも気づくまい

僕にとっては多くのことはすでに喪失なのだ
あの調和の崩壊なのだ
調和が崩れたガラクタを生きているだけなのだ

とはいえこの体でやっていくしかないことも知っている
君は君が思うより優れた力を持っているんだろうと
言われて
そうなんだろうけど
それを引き出す時にちょうど良い輝きを僕は失っていると思う


この世界では原子力発電所
すでに壊れている
壊れていることはもう仕方がない
としても
こんな世界を生きる予定だったろうか
こんなわけのわからないことがあっても
周りの人は何もなかったかのように
でも誰も何も感じていないわけではないんだろう

だけどそんな表情じゃ僕はわからないよ
僕はわからなくて
戸惑っているよ
仲良くしたり改心したりしなくていい

だけど僕らはやり直したいんだって
泣いてもいいんじゃないか
泣いてどうにもならないとしても
それでもね

それでもね

木々
砂が空から降ってくる
地に虫たちが
逃げることのできない
それでも
今この場所からは逃げるしかないように

僕らもその人かげはここにいて
ここにいるしか仕方がないように

本当は向こう側に逃げてしまいたい
だけどそちらに行けば
僕は死んでしまう

もっと遠くへ行けばいいと
言われる

遠くへ行くのって難しいね

ここがすでに遠いからだよ
もうずいぶんと来てしまったからだよ