細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

福島第一原発事故放射能汚染指定廃棄物、臭いものには蓋をやめて!国の上からのやり方でなく議論の仕切り直しを!

環境省が指定廃棄物処分場候補地とした千葉県千葉市、栃木県塩谷町宮城県の三市(加美町栗原市大和町)がいずれも環境省の調査を拒否し、候補地を返上する事態になりました。

東京電力福島第1原発事故に伴う指定廃棄物の処分場設置をめぐり、千葉県内で候補地となっていた千葉市が現地調査を拒否、宮城県内の候補地に選ばれていた3市町がいずれも候補地の「返上」を表明した。処分場の設置は6県で予定されているが、受け入れを表明したのは福島県のみ。その他では、候補地を選定するたびに地元が拒否する事態が続いており、政府は袋小路に陥っている。

 環境省井上信治副大臣が14日、千葉市を訪れて熊谷俊人市長と会談し、「指定廃棄物を1カ所に集約する方針を堅持したい」と求めたものの、熊谷市長は「(現地)調査は受け入れられない」と譲らなかった。

 

 

福島第1処分場候補地、相次ぐ「返上」「拒否」

産経新聞 12月15日(火)7時55分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151215-00000097-san-soci

 

 

 建設計画をめぐっては地元住民が反発し、見形町長らが反対の姿勢を示してきた。今年9月の関東・東北豪雨で周囲の川が大幅に増水し、現場が一時冠水。これを受け同町として「(現地は)もはや候補地ではない」と反対の意思を固めた。

 見形町長らはこの日、「選定の基本的要件を満たしていない」などとする丸川珠代環境相宛ての文書を井上副環境相に手渡した。見形町長は会談後、報道陣に「我々の納得いかない部分が変わらない限り、これ以上お話しさせていただいても無駄だと思う」と述べた。高橋隆輔】

mainichi.jp

 環境省の計画が上からの押し付けにすぎず、また指定廃棄物処分場を各県に建設するという方向性は福島県以外どこの県も納得できないということが明らかになりました。

福島県の中間貯蔵施設に関しても地権者からの土地の買取は進んでいませんし、帰還についても多くの方が本当に帰れるようにはなっていないと不安や困惑や怒りを表明していますし、帰還推進のせいで支援がうけられなくなる避難者の方々も各地で抗議をしたり途方に暮れておられます。

話を戻しますと、宮城県の指定廃棄物処分場の候補地である加美町の猪俣町長は、指定廃棄物の処分場を福島県に集約してはどうかといっています。

そして飯館村の巨大な仮設焼却炉で燃やすべきだと宮城県の首長会議の場で述べました。

3市町長は「これ以上我慢できない」(佐藤勇栗原市長)「現地調査に全く進展がなく、失望した」(浅野元・大和町長)などと反発。それぞれ「候補地を返上する」と表明した。
 猪股洋文加美町長は白紙撤回を求めた上で、福島県飯舘村の仮設焼却施設での集約処理を提案。「国に政治力を発揮してほしい」などと話した。
 井上氏は「積み重ねてきた方針を貫きたい。前に進むために何をするか検討する」と答えた。福島集約については会議後の記者会見で「(福島側の)理解が得られない」と否定した。

www.kahoku.co.jp

 

私自身は福島県の第二原発等に集約するなら賛成なのですが、高いレベルに汚染された廃棄物を焼却していいのかという点には簡単には賛同できません。

いやそれ以前に環境省の強引さが目立ったこの四年間で足りなかったのは、被災者や汚染地域の人々が全てをオープンにして放射能についてその処理や危険性やコストについて正面から話し合う民主主義の議論ではなかったでしょうか。

福島県内で同様の施設は南相馬市浪江町などにもあり「県全体では運転中が七つ、試運転一つ、建設中が二つ」(県生活環境部)。ただ仮設という名の通り、数年で撤去する予定だという。
 福島第1原発事故で飛散した放射性物質が含まれる「指定廃棄物」の処分場建設問題で、宮城県内の首長から「飯舘村で焼却を」という意見が飛び出した。
 3カ所が処分場の候補地になったものの、いずれも返上して八方ふさがりの状態に陥ってしまった。宮城県内でどうにも処分できないのであれば、県外のどこかへ運ぶしか手はない。
 飯舘と名指しされた福島県はどう思っているのか。「(他県からの搬入は)全然想定していない。あり得ない」と生活環境部の担当者は即座に否定。「福島集約論」には感情的に言いたいこともあるが、「それは察してほしい」。(2015・12・16)

河北抄|12月16日 | 河北新報オンラインニュース

 

河北新報さんや福島県の担当者様、大変お辛い気持ちはわかりますが、察することを求めるだけではなく皆で考えましょう。大事な話ですから。

 

東北関東に莫大な廃棄物があり、環境省の計画は東北の地元の考えを十分に汲めていなかったのだから、負担と汚染管理の安全性の2つの側面から、再検討すべきです。

東北関東の人々自らが意見を出してほしい。これはさらに後代の日本人や世界人類全体にかかわる問題です。まずは土地の人、そして改めてきっちり専門家や全国の人々で知恵を出し合うしかありません。

環境省はそういう場を設けていくべきではありませんか。

このままでは誰もが後悔します。

 

その際二点提案が私からはあります。

 

第一は、集中管理の原則です。

福島第二原発廃炉にして、廃棄物の置き場にしてはどうか。

汚染者負担原則にもかないます。

第二は他の一般廃棄物のように安易に一般の焼却炉で燃やしたり、安易に一般廃棄物の管理型処分場形態に埋め立てることは事故前はできなかったから、そうはしない方が良いのではないか。

費用はかかりますが、しっかり外界と遮断できるものにしたほうがよいと考えます。

従来の放射線管理の考え方に近くまた長期に人間や生物への影響を最小限にすることができます。

 

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環境省はまた時間が経ち8000bq/kgを下回った指定廃棄物の指定解除を考えています。

 

事故から5年近くが経過したため放射性物質濃度の低下が見込まれ、基準値を下回った指定廃棄物の総量は3000トン以上と推計されている。自治体などが国に解除を申請し、要件を満たした場合に認める方向だ。通常の廃棄物と同じ扱いで処分できるため、各地で保管中の指定廃棄物の減量が可能になる。

 指定については、2011年8月に施行された放射性物質汚染対処特措法に定められているが、解除のルールはなかった。環境省は同法に基づく省令改正で対応する方針だ。

sp.yomiuri.co.jp

 

 

8000bq/kg以上も多少用心したカッコをしながら普通のやり方で燃やしたり埋めたりしようとしていますし、以下のものも普通に燃やしたりできるようにするわけです。

仮置き場の皆さんのお困りなことが原因で解除するのかもしれませんが、今は指定廃棄物なら国に責任があるわけで、法改正でなく省令により対処しようとしてるあたり、国は責任を投げ出し、自治体や一般事業者に勝手に処分してと投げてしまおうとしているように見えます。

国の規制監督者としての責任放棄に見えますからこれも反対です。

それを裏付ける記事もあります。環境省は自治体の現場担当者ときっちり調整をしたようには思えません。

指定廃棄物の処理費用は国が負うことになっており、指定解除ルール創設に伴い、国の負担が変更されるかどうかは未定だ。県内の自治体からは「国に負担してもらうと助かる」(流山市)、「国が持つべきだ」(松戸市)との声が上がる。

 県によると、県内の一般廃棄物の公営最終処分場は25施設。民間も含め、放射性物質の濃度を5000ベクレル以下に抑えるなど独自基準を設ける施設もある。県内の処分場関係者は「独自基準を下回れば受け入れられる」と話す。

 ただ、濃度が十分低下しても処分場周辺で反対運動が起こることも想定され「国に責任を持ってほしい」と本音を漏らす自治体の担当者もいる。指定解除のルールができた後、県内各市が抱える事情の違いから温度差が出る可能性がある

指定廃棄物 解除対象570トンか : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

また、多少線量が下がったとしても、燃やしたり再利用したりしてよいものか、もっと科学的に厳密な議論が、特措法が出来てから4年間なされたわけでもありません。

環境省は、多角的な第三者的なデータではなく、自らのデータ、自らに都合のよい似たような顔ぶれの専門家会議を元に安全を振りかざしてきたのです。

この状況は災害廃棄物の専門家検討会議が開かれてから、除染や指定廃棄物についてあるいは特措法の見直しに関して会議が開かれても状況は変わっていないのです。

事故前は、100bq/kg以下のものでも、原子力施設などでドラム缶に入れたり、専用施設でしか処分できませんでした。つまり、廃棄物だけでなく、関東東北いや全国の私たちが安全かどうか確かめられたか不明な基準の食べ物や空気を摂取しています。ですから私はいたずらに、計画や事態を遅らせるために抗議しているのではなく、今の日本の基準が長期に検証に耐えた証拠ではなく、仮説でしかないものによって作られたと考えているのです。そんなものに頼って2次3次の被害を出してよいか。実際悲しいかもしれませんが、そこを関東東北の人々が直視しないと処分場や処理の問題も確かな議論ができないで進んでしまうと思うのです。そして仮置き場の皆さんの声を聞きながら東北関東全体で丁寧に処分計画を立て直すべきです。

 

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次に、高島市に不法投棄された汚染木くずの行き場を開示するよう求めていたところ最高裁風評被害が出るからと市町村名の開示をしなくていいといいました。

 

滋賀県の河川敷で放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された事件に関連し、木くずの最終搬出先の自治体名が書かれた捜査報告書の閲覧の可否が争われた特別抗告審で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は16日までに、閲覧できるのは報告書に記載された搬出先の市町村名などを除く部分と判断し、大津地裁の決定を一部取り消した。14日付。

 

 決定理由で「搬出先が特定され、風評被害などで回復しがたい経済損害が発生する恐れがある」と指摘。地裁は都道府県と市町村を閲覧可能としたが、小法廷は市町村名を対象外と判断した。

http://mainichi.jp/articles/20151217/k00/00m/040/152000c

 

 

 

これでは不法投棄されたものをきちんと回収し、自治体や業者が処分しようとしても、市民には行き先がわかりません。

むろん開示されたら運び込まれた市町村の事業者が地域から反対を受けるでしょう。

しかし、いつまでも臭いものに蓋をしてはよくありません。

 

秘密にしたまま議論しても解決しません。

オープンにし、みんなが納得するまで議論して責任と負担の所在を明確にすることが放射能汚染問題を改善する道かもしれません。