細々と彫りつける

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厚生労働省が新型コロナウイルス感染症を「新型インフルエンザ等感染症」に分類する感染症改正を検討ー感染症法の44条の4には、特に必要な場合「新型インフルエンザ等感染症」を一類感染症とみなし、対策可能(法改正による罰則化等について1月18日の記事で批判を書きました)

 

この報道は確定かわかりませんがマスコミ各社が流していて、非常に重要なニュースです。

 

コロナ、新型インフル級に 政府、感染症法改正案
2021.1.12 21:25 産経

https://www.sankei.com/smp/life/news/210112/lif2101120066-s1.html

新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けについて、現在の暫定的な「指定感染症」から、実施できる措置が最も多い「新型インフルエンザ等感染症」に分類する方向で政府が感染症法の改正を検討していることが12日、分かった。自民党会合で案を示した。

 入院勧告や就業制限、建物の封鎖といった現状と同等の幅広い対策が当面維持される。新型コロナの流行が終息し、何年か後に再流行した場合にも適用可能となる。ただ、国民の大半が免疫を獲得して危険性が下がったと判断したら、対策の在り方を見直す。
 政府内や与野党からは、危険度が低く、強力な措置を必要としない季節性インフルエンザと同等の「5類」に分類するべきだとの声もあるが、厚労省幹部は「現在の高い致死率と感染力を考えると難しい」と話した

 

 

新型インフルエンザ等特措法を適用してる関係からでしょう。

新型コロナウイルスは、新型インフルエンザ等感染症に位置付けられるようです。

感染症法による新型インフルエンザ等感染症に対して、まん延防止に必要な場合、政令で一類感染症とみなした対策が可能と書いてあります。


第四十四条の四 国は、新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため、特に必要があると認められる場合は、二年以内の政令で定める期間に限り、政令で定めるところにより、当該感染症を一類感染症とみなして、第二十八条及び第三十一条から第三十三条までの規定並びに第三十四条から第三十六条まで、第十二章及び第十三章の規定(第二十八条又は第三十一条から第三十三条までの規定により実施される措置に係る部分に限る。)の全部又は一部を適用することができる。」

現在「指定感染症」として新型コロナウイルス感染症は、政令での指定延長の方向ですが、今後感染症法を改正する中で、「新型インフルエンザ等感染症」に位置付ける方向というニュースです。

新型インフルエンザ等感染症」にした理由を私なりに推測すると、新型コロナウイルス感染症は、現在の「二類感染症以上」とみなした対策となっているからだと思われます。

大阪府医師会はこう書いています。

 

新型コロナウイルス感染症は、厚生科学審議会感染症分科会での議論の後、指定感染症に指定(2月1日施行)、結核やSARS、MERSなど2類感染症相当の措置がとられることとなった。その後2度の政令改正により、2類感染症では行われない、無症状病原体保有者への適用(2月14日施行)、建物の立ち入り制限・封鎖、交通の制限、発生・実施する措置等の公表、健康状態の報告、外出自粛等の要請、都道府県による経過報告が追加適用(3月27日施行)され、現在に至っている。2類感染症相当〝以上〟とされる所以である
https://www.osaka.med.or.jp/doctor/doctor-news-detail?no=20200916-2940-4&dir=2020

感染者がウィルスを排出している時に他人と会ったりしてしまうと感染のリスクがあるし、軽症であっても、重症化することも懸念されるので病院などで、症状を治療したりしながら、待機していただかねばなりません。
また、感染爆発すると、人の往来を少なくする必要が出てくる場合があります。
これらは、いずれも、感染抑制のためとはいえ、自由の制限の側面があり、ゆえに法律で規定し、条件や補償、人権擁護などを設定しなくてはなりません。
二類感染症以上というのは、法的には、患者と多くの人の命を守るために様々な強い対処ができるということです。
新型コロナウイルスは、急速な重症化による死亡リスクがあり、医療サポートは必須です。
また、SARSなどより感染力があるため、まん延防止策として、広域にPCR検査や行動自粛、休業要請やその補償が必要になります。
そのため都道府県知事が強い権限をもち、広域的に感染抑制し、さらに、特措法により、全国的に大規模な感染対策が規定されており、国が大規模な予算と、全国的な調整の役割を担います。
しかし、政治がだらしなく、また、霞が関もうまく動かず、法律のよい点をちゃんと生かさないため、話が混乱し、新型コロナウイルス感染症の扱いを5類感染症にしろという変な話が出てしまいます。
大阪府医師会はこのような動きを批判しこう述べています。


例えば5類(相当)となれば、都道府県の対策は調査のみとなり、入院勧告や感染者の隔離は不要、入院施設や宿泊療養施設の確保は免れ、行政検査や濃厚接触者の追跡、クラスターつぶしの作業はなくなり、医療費の都道府県負担もなくなる。医師の報告義務もなく、まん延を許容したことになりかねない。8月27日、関西の8府県と4政令指定都市で構成される関西広域連合は、5類などにダウングレードすることは時期尚早との声明を出している。
https://www.osaka.med.or.jp/doctor/doctor-news-detail?no=20200916-2940-4&dir=2020  

 

 

5類にした場合、大規模な感染症対策のほとんどの対策が消滅し、予算も出なくなります。
これは「重症者に集中する医療体制」などではありません。
感染拡大の兆候を検査や隔離保護で捉えなくてよいという話になり、さらに感染は拡大し、重症者も守れないことは明らかです。
いま、数は足りていませんが医療機関が頑張って引き受けているのは、補助があるからです。
国や自治体のコロナの扱いが緩められたら、「ないよりはまし」な、企業、労働者、医療機関、貧困者に対する様々な給付などが途絶えてしまいます。

ゆえにさすがに5類に落とすなど言えるはずもなく、それを言ったら、自民党公明党は支持者である商工業者、医師会などに離反されてしまうでしょう。
ゆえに感染症法の「一類感染症」とみて対策が法的に可能なカテゴリーであり、すでに新型インフルエンザ等特措法も運用してコロナ対策しているので、それとの整合性を維持するために「新型インフルエンザ等感染症」に分類するのかなと、私は素人なので僭越ながら推測しています。

ぜひ、みなさん、私の記事をうのみにするのではなく、専門家の解説を求めていただきたいとおもいます。

また、特措法自体が中身の問題はあるとしても、世界的な新興パンデミックを前提としています。

新型インフルエンザ等対策特別措置法


第一条 この法律は、国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等から、新型インフルエンザ等が全国的かつ急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、新型インフルエンザ等対策の実施に関する計画、新型インフルエンザ等の発生時における措置、新型インフルエンザ等緊急事態措置その他新型インフルエンザ等に関する事項について特別の措置を定めることにより」

明確に「国民の大部分が免疫を獲得していないこと」「かかった場合の病状が重篤となる恐れ」「国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼす恐れ」に鑑み「特別の措置を定める」と書いてあります。

まさに新型コロナウイルスもそうです。

季節性インフルエンザや他の既存の感染症とは別の分類とするにあたり、致死率が高いので5類緩和は困難と厚生労働省幹部の言葉があります。
そらそうでしょう

政府内や与野党からは、危険度が低く、強力な措置を必要としない季節性インフルエンザと同等の「5類」に分類するべきだとの声もあるが、厚労省幹部は「現在の高い致死率と感染力を考えると難しい」と話した

https://www.sankei.com/smp/life/news/210112/lif2101120066-s1.html

 

ただし、以前から言ってますが、安易な罰則化ではなく、医療機関や患者への支援が必要と思われます。

 

追記2021.1.18

感染症法や特措法の改正について、危険性や問題点も報道され始めました。

罰則化や予防的措置については、大変な問題を感じましたので、ブログ記事にしました。

感染症法、特措法改正で望まれる方向は、コロナパンデミックの人々の暮らしや命を守るために行うべきで、コロナ禍で苦しむ人々を追い詰める罰則化のためではないーコロナ禍でもまた問われるこの国の「差別と排除」の形。 - 細々と彫りつける

 

法改正の報道の直前に感染症法の扱いを緩め、5類にすることの危険について投稿しました。

 

 

無症状、軽症患者はすでにホテルや自宅療養で不安な日々を送る人がたくさんいるのに、コロナの感染症法上の扱いを緩めてしまえば、現場は助かるという発想は話がずれている。
検査と隔離保護をきちんとやらなければ、ますます市中や院内で感染拡大する。

そうではなく、

世界的にも多数の医師や病院がある日本であるがICUが少なくICUを有する小病院が点在していて(1月16日加筆)、重症者を受け入れる病院が限られ、その病院に負担が偏り、他方検査が足りず、市中感染や院内感染が起きて一般病床がダメージを受けている話ではないかといくつかの記事から推察している。

医療崩壊と曖昧にいっているが、詳細に明らかにすべき問題なのである。 

 

ICUでの患者受け入れを準備できるように、政府や自治体がしっかり支援ができるようにするような制度改正がまずひとつ。

第二に、無症状者や軽症者を検査で発見し感染拡大を抑制する。
そして彼らが隔離保護が可能な医療体制を地域の医療機関が連携して確保する。

自治体や国はそれを予算的にサポートし調整する。

重症化した時に対応できるような体制として重症者受け入れ病院との連携を。
第三に、コロナ受け入れ病院とは別に普段の患者さんに対するケアサポートという地域の病院機能を維持する。 

 

素人の私の整理では乱暴かもしれないがこれらの課題を整理できてないと、指定感染症から外せみたいな暴論が出るのではないかと思う。

検査と封じ込めを基礎として感染抑制し、病院間の役割分担を明確にしてほしい。自治体や国はそれを予算的制度的にしっかり支える。

その際、大規模な予算や地域全体での多数の医療機関との調整、要請、指示にはしっかりした法的な根拠が必要となり、また医療スタッフや患者間で感染を広げていかないような防護はしっかりやらなければ、院内感染で医療機関がガタガタになるので、感染症法上の扱いの緩和には乗れない。