細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

ハンセン病家族訴訟、控訴取り下げ「おわび」のはずの安倍政権が判決を不服とする政府声明を出し、訴訟原告団と弁護団が批判

安倍総理、菅官房長官、根本大臣が「おわび」の大合唱だが、判決を不服としている政府声明が出された。

政府声明も閣議決定 ハンセン病判決に「法律上の問題」 2019年7月12日12時15分 https://www.asahi.com/sp/articles/ASM7D3JM2M7DULFA006.html

すぐに ハンセン病家族訴訟原告団弁護団は反論の声明を発表。

「政府声明は,本判決の論旨を曲解するものであると言わざるを得ない。そもそも,本判決の指摘するハンセン病患者家族が差別・偏見を受けるような一種の社会構造の存在を前提とすれば,いかなる理由によっても消滅時効は成立し得ないはずであって,本判決の消滅時効に関する判断はむしろ当然の帰結である。 以上のとおり,政府声明は,最高裁判例や本判決の論旨を正しく理解しない不当なものであると言わざるを得ず,本判決の法律的な判断は何ら揺らぐものではないし,本判決には政府の懸念するような国民の権利義務関係に影響を及ぼす内容は含まれていないものと考える。

2019年7月12日 ハンセン病家族訴訟原告団 ハンセン病家族訴訟弁護団https://www.dropbox.com/s/5dlkw4r11f0i7p8/190712seimei_seimei.pdf?dl=0

そもそも、ハンセン病家族やハンセン病者のために、国が差別的制度を長らく維持してしまった責任を認め控訴取り下げするのが当たり前のことである。 総理の手柄のように報じられること自体おかしいのだが、小泉政権の時にもこれはあった。 何十年苦しんできたわけで、なぜこれまで政府は裁判を長引かせたのかそのこともさらに批判されねばならない。

そして本当は謝る気がないのではないかと思っていたが、さすがにこの政府声明には驚いた。 連日総理や閣僚のおわびが新聞紙上をにぎわせる一方、本当は判決に不満なのだという政府声明を閣議決定するとは。 謝る先から舌を出すような、許すべからざる行為。

選挙パフォーマンスのためにあやまるふりをしているという疑いは明白となった。 ハンセン病者の家族、ハンセン病者をさらに踏みつける政府声明である。

日本政府、安倍内閣は、詐欺的なおわびパフォーマンスをやめ、真摯に判決を受け入れるよう求めたい。

ハンセン病については、本来治療できる病気であることは早くわかっていたのに、治った人々を隔離収容し、差別を政府が正して来なかった。 このことで、戦争をまたいで、ハンセン病当事者、そして家族が社会的な差別を受けてきた。それをこの国は正して来なかった。それが問われているのだ。 戦前から戦後に持続する国家的差別事案なのである。

ハンセン病者や家族に対する謝罪や償い、差別をなくすための啓発や教育に政府は全力をつくすべきである。