細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】古い谷の歌を年寄りが歌う前のはなし

領土の内と外で 戦いが始まる時 この内と外はもちろん虚構だが 君は虚構とは思えなくなってる なぜなら 君のこころの中は ずっと前から支配されているからだ 支配とか戦い などということについて 歌う風習は この部族では廃れたのかも しれないが 君に語りかけるとき 私は古い外套を着て 異言で語りかけるのだから どうせ私の言葉なんて 風や馬の呼吸にしか 聞こえないだろう わかっているよ だけど聞いておくれ

私の外套にもぐりこんでおいで 恐ろしかったね 実際こころが支配されているなんて 怪談か冗談みたいな響きさ だけど 君にみて欲しい この世界の7割は砂漠だ 砂漠で悪魔と戦うとき 君は別の悪魔を呼び出してはいけない

あくまで君の若竹のような やわらかい爽やかな 言葉を使うのだ 山椒の葉は すりつぶされ 懐かしいあの世界の匂いがする 水というのは 植物の体の中を通り抜ける そのとき植物の細胞は とても美しい着物を着て 君という水に 香水をふりかける

そのとき、植物の細胞も根も信号を発してることを知るのだ ひとりひとりが かけがえないメッセージをもち 誰かが傷つくと 他の人も傷つくのだ これを「そばにいる人の効果」 と生物学で呼ぶ

darling darling stand by me

いつも誰かが誰かのそばにいて 君と一緒に傷ついたりする

砂漠を渡るときは 君の中を濡らす 涙をわすれないことだ その涙が つながりあって 歴史を作るのだ

小さな雨粒 から雨粒へ しずくからしずくへ 雲も海も信号なのだよ

実際そうして 数え切れないくらい 古い時に 海はできたのだよ 海は違いを飛び越え 暗闇と光を 君と私を 物質と物質を 結びつけ 揺らし 希望を生んでいた

しかし それはわずか数百年で こんなに私たちの 怒りと悲しみを 溜め込んでしまった 私たちが 無知から作り出した 新しい災いが 叡智の 海に投げ込まれるだろう

しかし覚えていてほしい 君と私を作るのは 小さな 若竹のような 山椒のような 命のしずくなのだ 君と私の 肉体の 中には 土や木々と同じ 賢い命の粒が 満たされている だから君は 無限を いま生きているんだ

さあ怖がらないで おやすみ 懐かしい 私の生まれた谷の歌を歌おう これを歌うと 私は 古ぼけた 狂った老いぼれと 笑われるもんだが そうじゃない そうじゃないよ

るる るる るるる ばれ ばかれ かかるれ ばかろれら らっさ さらごめ めてるおら おらめて めて てろて かかるれ ばかろれら

るる るる るれれ さらごめ