細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

アスペルガー症候群の元になった医師アスペルガーがナチスの障害児安楽死計画に加担していたという記事を読んで。

アスペルガー症候群の名前の元になった小児科医ハンス・アスペルガーナチスの障害児安楽死計画に加担していたという論文が専門誌に発表された。

私自身、自閉症スペクトラムの診断を受けていて、気になるニュースだ。

1980年代に、ローナ・ウィングらがアスペルガーの論文を再評価し、自閉症は、知的障害や言語障害の少ない人々にまでその傾向があり、「スペクトラム」になっているという見解を打ち立て、現在「自閉症スペクトラム」という考え方が世界的に広がっている。

自閉症スペクトラム」という自閉症の捉え方は、なくならないだろう。 (以下2018年4月21日午前10時15分追記) 知的情緒的にどうであるかは関係なく、自閉的な傾向が普遍的にあるという考え方だからだ。 とはいえ、アスペルガーがどんなふうに子どもたちを見ていたのか、徹底した再検証は必要である。アスペルガーの知見に優生思想はどのくらい入っていたのか。 それがアスペルガーの確立した知見にどのくらい影響するか私にはわからない。 研究のさらなる進展を待ちたい。 (以上2018年4月21日午前10時15分追記終わり) ともあれアスペルガーが子どもたちを守るために、「自閉性精神病質」という概念を作ったという話は、大いに疑わねばならないのかもしれない。

自分もこのような知識しかなかったので、認識を改める必要があると感じた。 https://twitter.com/ishikawakz/status/889337636535402496?s=20

アスペルガー自閉症の子どもたちにも知的情緒的に素晴らしい部分があるとしたわけだが、この擁護の仕方が変だとは私もなんとなく感じていた。 しかしアスペルガーがそこまでナチスに関与していたとは、、 ショックである。辛い。辛いが考えねばなるまい。

知的情緒的に素晴らしかろうが、素晴らしくなかろうが、というよりどんな子どもも大切にされねばならないのである。

私は若い時に知的障害者グループホームで働いた経験があった。 彼らの存在に触れたから、知的障害を持つ人々への予断を破壊できた経験だった。 とはいえ私の中に気づかれない形で差別観念はあるだろう。人間には深く自覚しえない優劣の観念があるだろう。

泊まり介護は体力的にも精神的にもキツくて、辞めてしまった。

職場環境が辛かったり、私自身の人生の中で、仕事以外の恋愛とか生活に挫折した時期である。

そんな中で、私は少しずつ、自らの生きづらさに向き合っていくことになった。大変な仕事だったが、私は私の生きづらさに向き合うきっかけになったと思う。

まだまだ私は私の生きづらさと他人の生きづらさを同じレベルで捉えることはできていない。 だから私は私の生きづらさで、頭がいっぱいになる。 比べて自分が大変だと言いたいのかもしれない。 しかし苦労に優劣はない。 そのことをもっと深く捉えられたら。

できるできないに若い時よりはこだわらなくなった気もする。 それは生きづらさ、病気に向き合ったからかもしれない。 しかしそれは優劣を乗り越えたというよりできないことを追及するエネルギーが少なくなったからかもしれない。

障害にも人間にも本当は優劣はない。 あらゆる人間がそう思い、気づく時が来るまで、私たちは学び合わなければ、たぶん生きていけはしまい。

「H・アスペルガー医師、ナチスに「積極的に協力」か 研究 2018年4月20日 15:43 発信地:ウィーン/オーストリア H・アスペルガー医師、ナチスに「積極的に協力」か 研究

【4月20日 AFP】アスペルガー症候群の研究で知られるオーストリア人小児科医のハンス・アスペルガー(Hans Asperger)医師が、ナチス・ドイツ(Nazi)の安楽死プログラムに「積極的に協力」していたことが明らかになったとする研究論文が19日、発表された。

 オーストリア・ウィーン医科大学(Medical University of Vienna)の医史学者、ヘルビヒ・チェフ(Herwig Czech)氏は論文で「アスペルガーナチス政権に取り入り、忠誠を誓う代わりに職の機会を得た」としている。

 チェフ氏によると、アスペルガー医師は、強制的な不妊手術を含む民族の浄化政策を公に正当化していたとされ、その時々でナチスの子どもの安楽死プログラムに「積極的に協力していた」という。

 専門誌「Molecular Autism」に掲載された論文では、アスペルガー医師がナチスそのものには入党しなかったものの複数の関連組織に参加していたことが指摘された。

 今回の研究でチェフ氏は、現代の文献やこれまで未調査だったアスペルガー医師の私的ファイルや患者の記録を含む膨大な資料を見直した。そのうちの一つである1940年のナチスの資料には、アスペルガー医師が「人種と浄化法という問題で国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の考えに一致していた」との記述があったという。

 また、同医師は各講演でナチス医療の理念に忠誠を誓い、1938年にオーストリアドイツ第三帝国(Third Reich)に「併合」されてからは、診断書に「Heil Hitler(ヒトラー万歳)」とサインしていた。

 チェフ氏によると、アスペルガー医師は2歳と5歳の少女をウィーンの精神病院内にある悪名高き「シュピーゲルグルント(Spiegelgrund)」の施設に移すよう勧めたという。そこでは「遺伝的価値」と「民族的純粋さ」に欠けるとされた800人近くの子どもたちが死亡しており、その多くは殺されていた。2人もここで命を落としているが、その原因は「肺炎」と公にはされている。

 またアスペルガー医師は別の病院の小児病棟の約200人の運命の決定する委員会にも所属していた。ここでは35人が「教育不可能」とされ、後に命を落としている。

 AFPの取材にEメールで応じたチェフ氏は、今回見つかった証拠は、同医師が「子どもたちの診断を飾リ立てることで、彼らを保護しようとしていたという認識が誤りだったこと」を示していると説明した。

■死後の承認

 アスペルガー医師の業績が認められ、その名にちなんでアスペルガー症候群との名称がつけられたのは、1980年の彼の死後だった。

 論文掲載誌の共同編集主幹で認知神経科学者であるサイモン・バロンコーエン(Simon Baron-Cohen)氏は、同論文が物議を醸すものであると認識しているとしたうえで、「われわれが掲載に値すると思ったのは、小児学および児童精神医学に長きにわたって価値ある貢献をしてきたとされる医師が、ナチスの嫌悪すべき優生学安楽死政策を積極的に支援していた罪があるという真実を暴露しているからだ」と語った。

 英国自閉症協会(National Autistic Society)自閉症センターのキャロル・ポベイ(Carol Povey)氏も、同論文は全英の70万人の自閉症患者やその家族、特にアスペルガーの人の間に大きな議論を呼ぶものだとしている。

 他方で米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)欧州研究所の上級研究員エディス・シェファー(Edith Sheffer)氏は、用語としての「アスペルガー」の使用を止めるよう呼びかけている。

「Asperger's Children: The Origins of Autism in Nazi Vienna(アスペルガーの子どもたち:ウィーンのナチス自閉症の起源)」の著者である同氏は、「疾患や障害に人の名をつけるのは、その人の功績を認め称賛するためであって、アスペルガーはそのどちらにも値しない」と語った。(c)AFP/Simon STURDEE」 http://www.afpbb.com/articles/-/3171911