細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】誰か走ってるよ誰か

若い時は 生きているのが恥ずかしかった ようだ そんな感情はなくしたよ

今は恥ずかしさの痕跡が 見えないしこりのようだ

すぐに思ったこといえない

地元のデパートの前の通りに 天神さんから寒い風が吹いてくる その寒い風は バスロータリーをまわって駅の コンコースや構内を 舐めていく それから陸橋を吹き下ろす

なんであの風は あんなに寒かったろう あの地元のデパートは 辛くなるとよく逃げ込んで 本を立ち読みしていた

あんまり良くない癖だと ずっと思っていた あのデパートは死の香りがした からなあ

駅の北部を突き抜ける 街道を チャリンコで走る 何もすることがない コンクリートの壁にシミが 冷たい光があるんだ あの通りには 私が高校に通う時も通ったね

坂道はつかれたなあ 高校の

新しく生まれ変わろうと 思うんだよ 昔の話の 意味が変わればいいなって 思ってるんだ

たぶん私は何度か死んだんだ 生きるのが辛くてね 親も町もそんなに 変わった種類じゃないのに

見えない傷が 私にはあり過ぎるらしいよ 同情を買うためじゃない

あの町の鉄道の上に浮かぶ 青空を見上げながら 誰だろうね 誰か走ってるよ 誰か