細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

原発震災から約6年。復興の大義名分の陰で、放射能汚染は矮小化、避難者などの住民支援は後退。除染や復興事業の予算と不祥事が積み重なる。


やはり私たちが懸念した通り、除染や瓦礫処理事業では、見積もり違いによる増額や非常に過大な見積もりとみられる予算のふくらませが国や自治体とゼネコンの間で行われている懸念が数字にもあらわれてきました。

他方労働者への支払いはピンハネされている現実もこの6年間報道されてきました。

労働者の給与と被災住民の支援にはあまり予算が行ってないのです。

 

宮城県は瓦礫処理が問題になり、情報公開が行われていますが、岩手県は公開が進んでいません。(福島県については言及がないのは環境省福島市で公表している分に国が福島県で実施した除染額を一括しているためでしょうか?しかし除染はもっと関東東北の広範囲で行なわれていますがこれは被災三県だけしか書いてません。震災被災地復興事業のみのデータのようです)
復興という大義名分があるため、国やゼネコンは、予算をつけやすいのです。
東日本大震災がれき処理原発事故の除染など国や県が発注した大規模な復興事業でゼネコンとの契約額が途中で増額されるケースが相次ぎ、全体の5分の1の事業は契約額が当初の2倍以上に引き上げられていることがNHKの取材でわかりました。こうした契約変更について環境省岩手県はホームページで公表しておらず、専門家は「税金のむだづかいや不正につながりかねず情報公開の徹底が必要だ」と指摘しています。」

「入札や契約の問題に詳しい上智大学法科大学院の楠茂樹教授は復興事業で契約額の増額が相次いでいることについて「誰も経験したことのない震災後の事業なのでどうしても事前の見込みと違うという状況は発生しうるが、契約額の増額がここまで激しく行われるのには違和感を感じるし契約額が2倍3倍になるのは通常ならありえない話だ。最初の入札では予定価格を1円でも上回れば無効になるのに、お金を使えば使うほど契約変更で予算がつくということになれば歯止めがかからなくなり公金の有効利用の観点からも検証し直す必要がある」」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170304/k10010898821000.html

除染については、投入人員が5年で3000万人越え。
東日本大震災:福島第1原発事故 除染費2兆6000億円 環境省見通し 作業員延べ3000万人超 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20170304/ddm/012/040/107000c?utm_content=buffer88736

復興は何のためかを大規模かつ巨大な震災によるコミュニティ破壊や、長期的な放射能汚染では、問われなければ本当には住民は救われません。

しかし、オリンピックに向けて、原発事故をアンダーコントロールしたことにしようとするのが復興であるように政府はいいます。

除染しますと企業に金をばら撒き、とりあえずやったというアリバイを作り、実はフレコンもどうにもならないし、山林や河川の大部分はどうにもなりません。

しかし平気にしたから帰ってと。

とりあえず基準を緩め20ミリシーベルト以下にすればいいので、帰って安全とはいえません。

しかしやったんだからと。

事故が起きても原発が続けたいからではないでしょうか。

事故が平気だと印象操作しないと、原発産業は維持できないのです。コスト増大でアメリカやヨーロッパでは原発企業の衰退が明らかで、日本では東芝も巨額損失、三菱もうまくいっていません。

日本政府が東電原発事故損失を税や電気料金につけかえてるから、電力会社が潰れてないだけで、市民生活は原発事故の打撃をつけ払いさせられています。


オリンピック、被災自治体には戸惑いがあります。
<震災6年>首長「復興」五輪に戸惑い、懸念 - 宮城のニュース - 都道府県別 - 47NEWS(よんななニュース) http://www.47news.jp/smp/localnews/miyagi/2017/03/post_20170301114859.html

また国や被災自治体は、原発事故の避難区域外からの避難先の住宅支援をこの3月末までに打ち切ります。
復興の意味を放射能汚染を早くないことにしたいため、避難者や放射能汚染を懸念する人々を冷遇しているようにみえてなりません。

自主避難」3.2万人、住宅支援打ち切りに悲鳴 生活問題は逆に深刻化、終わらない原発被害 | 震災と復興 - 東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/151985 @Toyokeizaiさんから

仮設の長期化による死者の増加も懸念されます。
仮設住宅経験者の7人に1人 “同居家族亡くした” | NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170304/k10010898761000.html

放射能汚染や震災によるコミュニティ破壊が、深刻な場所に単に戻そうとするのではなく、人々が避難先でもどこでも安心して暮らせるようにせねばならないのに、できていません。

 

それどころか、公務員に帰還を無理強いしてる自治体さえあります。

‪<避難解除>帰還求める楢葉町 困惑の職員 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201703/20170306_63004.html?utm_content=bufferd2150
‪「自治体当局は職員の人事権を握る。帰還の働き掛けが強制や圧力と感じられるようならば、職員の意欲をそぎ、住民サービスにも影響しかねない」‬


また放射能汚染について、処理や管理が厳密にされなければならないのに、全国的に放射性セシウム換算でキロ当たり8000ベクレルまで一般廃棄物として燃やしたり埋め立て処分が可能です。また防波堤などの再生資材にする動きも。

(さらに福島県や汚染地域の全域で8000ベクレル以上の廃棄物処理が問題視されています)
また、堆肥については400ベクレルまで、セメントやコンクリート原料としては100ベクレルまで、製品化することができます。

普通は汚染のあるものは、だれも手を出したくないし、製品化もしたくありませんが、そこに予算をつけることで、事故前までの放射能廃棄物の処理処分より圧倒的にゆるい処理が常態化しているでしょう。

これも原発救済策です。なぜなら汚染廃棄物を事故前のやり方より安価に処理すれば原発事故コストを小さくできます。代わりに人間や生き物は汚染を押しつけられます。

 

多額の予算を不透明に投入するからこそ、除染は環境省本省を巻き込んで贈収賄事件がおきています。
<除染事業贈収賄>監督権限利用し便宜か | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201703/20170304_63016.html
「除染工事を監督する立場を利用し、贈賄側業者の工事参入を元請けに働き掛けた疑いのあることが3日、福島県警などへの取材で分かった。」

また、これは不祥事ではありませんが、比較的予算に関する情報公開が進んでいた宮城県では、8000ベクレルまでの指定廃棄物の指定解除に伴い一斉焼却を県知事が提案しましたが、各市町村が反対。
しかし栗原市などが燃やさずに稲わらなどはすき込みや堆肥化による処理を目指しています。
いったん除染したものを田畑にまいてしまうというのは疑問だと感じています。

 

とにかく、放射能汚染による長期的継続的な環境人体影響を予防的に勘案した対策ではなく、場当たり的原子力救済的な復興事業しかしないのでは、被災地も全国、全人類、全生物は原子力発電の踏み台にされ、押しつぶされてしまいます。

国策と共に文明レベルの転換が必要ですが、核や原子力や戦争に依存した経済人、政治家たちが、その転換を阻んでいるのです。