細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】赤い夜空の鳥

雨が降った後の夜空は

赤く輝いている

なんでだろうって昔からわからなかった

光の加減かなあ

自転車で走ってたら

泣きそうだった

 

いつも緊張していた

緊張していることすら忘れていた

だから裂け目を探している

逃げられるから

どうしたって自分でしかなく

自分からは逃げられない

きっとあの人もそうじゃないかと思う

逃げることができないから

本屋や喫茶店で

強張ったまま

笑って動かない一秒を

力づくで前に押す

 

前がわからない

 

あの人は向き合おうとしている

私は向き合ったその地点で倒れたままだから

いつか出会うかしら

と思う

それとも

そうではないのかしら

 

不安に

胸がうずいて

握りしめた宇宙を

握りつぶしそうになる

いけないいけない

こんな小さなものに

宇宙があるのだから

 

この宇宙は

明日から届いた

かわいらしい鳥のようだ

上手にうたわなくていいよ

その鳥は

たださえずるだけで

胸がいっぱいになるような鳥だったら

いいなあ

 

壁伝いに走ってきた

濡れた路面

様々に

光をさらす空