細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】割れやすい小さなコップとして

長い間が経った

私は少年からおじさんになった

幼馴染には

変わってないねと言われた

 

少年は

この程度しか出来ない自分を

憎んだ

この程度しか出来ない自分を

恥じた

この程度しか出来ない自分を

呪った

 

確かに不自由であった

小さな割れやすいコップみたいで

熱いものも

冷たいものも苦しいのだ

友達に熱いものを注がれて

ひび割れ

冷たくされて

さらに傷んだ

 

肉体と欲情は背伸びして

私の小さなコップから溢れて

この幼い私の全てを

抱きとめてと

静かな夜空に肉を散らばらせたが

私は気づかないまま

バラバラになっただけだった

 

私の肉片を拾い集め

私の血や望むものに泣いた

 

この程度と呪った時に

私は誰になろうとしていたのか

この程度しかと憎んだ時

私は誰になる夢を見ていたのか

 

この程度しか

と思う私が

いつも私として生きてきた

割れやすい小さなコップ

のままなんだろう

大事にして

大事にされて

最後まで使い切るに限る

そんな諦念は

なかなか

開かれない

 

私は生きることを愛し過ぎる

私は生きることを憎み過ぎる

私はいつも

過ぎた夢を見過ぎるからかもしれない

 

けれど、溢れていく夢の中で

私のコップだけは不思議に

その大きさを変えない

 

私はコップの割れやすさ

小ささを

信じることは

できるはず