細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】涙を流した

高まることも落ちることも

過ぎていった

涙を流した

 

深まろうとして膝をかがめ

底まで沈んでいこうとした

沈むことが深まることではなかった

涙を流した

 

だれにも会わないように決意したそのすぐ次の日に

会いに行った

惨めさが大きくなり

空がここまで迫ってきた

涙を流した

 

会うことができないので

なんでもない表情をしながら

血を流した

激しい感情は誰も助けず

時間をじりじりと削るだけであった

 

涙を流した

 

この生は病んでいる

涙を流した

涙ではあらわせないその人の表情があった

涙を流しても仕方ない

 

涙を流した

 

悲しみが感じられなかった

涙を流した

命を絶てずにただ生きていた

涙を流しても

ただ生きていても

涙が流れなくても

ただ生きていても

おお

ただ生きていても

 

この体に

まだ愛するがあるなら

この愛が涙のようだった

流しても流しても

涙以外の思いがさく裂し続けた

 

涙を流した

 

木々が枯れた

涙を流した

自分がうそつきだと思った

涙を流した

病院の帰りに泣き

怒りで涙を流して

よくなることがあると

よくなっても行くところがないと涙を流し

すべて傲然と

受け流しているふりをして

涙を流した

 

この体が心を取り戻したとき

息は深く

ヨガのポーズは不思議だった

そこで涙は流れず

喜びがあった

体が気持ちいいなら

心も気持ちいいに違いない

 

どうなろうと

あなたが幸せなら

いやありのままなら

私が幸せなら

ありのままなら

滅びゆくつかの間の

奇跡の時間であるなら

それでいい

 

ありのままの魂だけが

叫ぶこと

笑うこと

歌うこと

泣くこと

広がること

生きていることを

肯定できる

 

そこに何があろうと

それは肯定されているのだ

それが他人にどう思われようと

かかわりはない

 

涙を流している

涙を流している