細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】本当と嘘とマボロシと風船

例えば耐えるということは

何の意味もないかもしれない

そもそもこの世界には

僕らが作り出したマボロシしか

ないんだから

マボロシに向けて耐えるなんてこと

大変バカらしい

しかしマボロシしかないんだとしたら

僕らはこのうつし世の夢に

耐えるしかない

僕らは満足するマボロシを見たいと

願うのだろう

 

しかし僕らがいくらマボロシ

作り出したとしても

僕らがマボロシを作るしかない虚しい奴

だということには耐えなくては

なるまい

 

憂鬱の中で草笛を吹く

僕は手先が不器用だから

吹く真似だけをするのだ

 

君には形があり

川には形がある

手のひらは柔らかく

力は入っていない

マボロシしかないんだと

思えば

ここにあるすべてが

笑うこともなく

静まり返る

注意を散漫にしなくて良い

 

僕はしたいことしかしなくてよい

なのに僕はそれもマボロシだというのだろうか

いや単に震えているのだ

僕がマボロシだと言われることの

恐ろしさに耐えることができないのだ

 

体重をおとしたり

本を読んだり

笑うふりをしても

僕が本当のものではなく

マボロシだということが

耐えられないだろう

 

だから激しく

つまらない顔をして

僕は何事も起きないだろうと

悟ったような諦めを演じている

 

言葉がぬくもりとして入ってくる

この言葉が本当なのか

自信がない

 

僕は本当と嘘の区別がつかない病気

なのだろう

こんな人が他にいるのか

いるとして慰めになるのか

 

世界は金色の夕闇が迫り

一斉に

風船が風に浮かぶ

 

今ならまだ間に合うのかな