【詩作品】駆けあがる水
壁があり
黒く濡れたあとがある
濡れたあとに
うれしいとか風が冷たいとか
風景がこの世界を思っている
このちいさな通りが赦されている
大好きなんだ
この場所を君が歩いている
駆けていく子どもたち
のあとから
雲が湧きだし
冷たい雨を降らせた
また
温もる寂しい人類の
交わし合う挨拶が聞こえた
もはや
スカスカで
わたしらは裏ぶれた
コーヒーを飲んで
精霊の白い肌に触れる
君が手を振ると
墜落した場所で
水が駆けあがろうと
している