【詩作品】ありゃあせん
むなしい
無情
あんた笑うな
痛みなんてないかと思っていたら
あぶら汗が夜の闇に溶けて
再び朝帰ってくる
私の心はどこかへわすれていた
感じないなら感じないで
よかったのに
命だからか、忘れ物だからか
落し物だからか
憑きものだからか
長い雨が降っています
悪くないことではないんでしょうか
存在しない青春が私を思い出す
若い男と女が幸せそうに
笑う
私が何をしてきたか
いろんな人が記憶の底から
立ち上る
煙る雨のように
悪いのか悪くないのか
私はそもそもなんだったのか
わからないまま
古いお話として
もはやしまい込む棚もありゃあせん
階段を駆け上がる
21世紀にも階段はある
さみしい階段である
壁には鳥や馬の絵が描かれ
私は行くところがない
賑やかなそんなさみしさです