細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】話すべき沈黙 沈黙すべき話

私は話すぎている

話すぎて間違えすぎている

間違えが罪深く

黙ろうとすると

息が苦しくなる

苦しくて口をパクパク

させているうちに

喋ってるみたいになってしまう

意味のないことを喋ってはいけない

という縛りがいつの間にか出来ていて

意味のあることをしゃべろうと

丁寧さを心がけるうち

私の頭の中は粗雑で

デタラメを言ってるような気がして

そのデタラメを吸い込もうと

出た言葉を吸い込もうと

言葉を吸い込もうとするが

言葉は吸い込まれず

しかし勢いを失い

他人に届くまでに

地面に落ちてしまう

 

その言葉は葉っぱだから

時間が経つと

枯れて

どこかへ吹き飛ばされる

 

だから私は間違えを恐れず

言葉をぶつけてみたらよいのか

言葉は乱反射して

穏やかな光の中で

キラキラと落ちようとする

結局何も言わないまま

伝わることを念じているだけ

なのだ

話してしまうと

私は奇怪な怪物に

なるかもしれないから

 

 

         *

 

 

(あれもこれも

言う資格はない

もう何も言うべきではない

私が火を消そうと

肩を落とすと

火が私を襲うのを

私は見るのだ)