【詩作品】なんとか秋をつかまえて
カラダの奥底から、不愉快なわななきが立ちのぼる
ふくらはぎの筋肉がしくしく泣いている
運動をしすぎたせいかと悩む
わからない
ふくらはぎがなくたびにカラダがわなないて、力が抜け、下半身がたよりないと思った
時々悲しくなり、違和感は寄せては返し、私は恋でもしているのかしらとも思ったりした
その2、3日後に風が急に冷たくなった
そういえば立て続けに東の国や北の国に台風が来ていた
蒸し暑い空気の中に優しい死の冷たさがしのびこんだ
秋が来たのかなあ
季節についてあらためて話すことはあるんだろうか
私にはあらためて話すことがない
歳を重ねるたびに
自分でできないことだらけの
世界だと思う
飲み込まれていくような哀しみに
仕方がないという言い訳と
飲み込まれてやれと言う投げやりさに
いや、抗ったほうがいいのかなあと
布団にくるまり私は
考えた
そして抗うには遅すぎる世界に
膨張する束縛の欲望に
こんな時に40過ぎて
大人みたいな顔をして
いやだなあと思った
こんなに生きていられると
思っていなかったし
生きていれば
抱きたい息苦しさがあり
大してない知恵を発表したいしょうもない顕示欲さえあり
他人に対して
尖ったやるせなさを
つきつけてやりたい
なんて典型的に
半端な大人になったんだろう
数千年続くかもしれない
よくわからないもっと短いのか
長いのか
人類の引き延ばされた末期を
終わっても終わっても生きて
誰かのあとには
誰かが
私のあとの誰かもまたくたばり続けるだろう
夏は暑かった
まだ暑いんだろうか
暑すぎると夏は現実感を失う
もう夏とは呼べないかもしれない
秋にも秋らしくない毎日に戸惑い続けるのか
しかし私のカラダは
なんとかまだ秋を捕まえられる
みたいだ