細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】バンザイ

高まる 破片である

考えをまとめない

一本の芯である

私は

 

私はテレビニュースを見る

死んだ人の数だけが

通り抜けて、父や母の顔も

画面をみている

朝かもしれない、それは

 

多分私も殺されるんだと

ストンと落ちた

殺されることは確かなのだ

決まっていたのだ

何度も否定したのに 悔しいものだ

 

私はたぶん殺されるのだろう

なぜかそれは確かだと思う

 

私の無暗な愛も私の宝だ

愛は不確かだ それが不確かであるほど

苦しさは確かだ

愛することを捨てて

先にひとを殺すということは楽な話

そう思う人があるのだろう

ひとを愛さないなら

ひとは数になるのだろう

 

ひとは結びついているから

私の破片は切っ先である

私が切り裂く線はやはり

一本の芯である 芯は紐をつたって

さらに意味を奪い合う

 

私は切っ先であるから

結びつきを作ることができない

 

幸せな顔や楽しそうな顔を呪うということもある

愛さずに殺したり

ないことにしちまえば楽だ

そう思う人がいて

私はその人を否定できない

バカなことするなと何度も叫ぼうと答えはない

夢の中で叫んでみた

叫びながらちゃんと夏の昼下がりに

目を開いた

 

あいまいに諦めているのかもしれない

幸せな顔や楽しそうな顔を

私は最後のところでしていない

このままの顔で

この世界はいつまで

無くならないのか

 

私が笑う前に

私の世界が終わったら

どうしよう

空々しい気持ちになりながら

私は普通を装おうとする

ぎこちない苦笑で

日々を焼いている

 

通り過ぎていく夜の街に

誰もが

どうしてよいかわからない

結局どうしてよいかわからない

誰もがディスプレイを

見ていて

時間を流す力がない

 

花が開くとき

空気は花を温かく見返す

私の周りから

切り裂かれた空気の破片が

落ちていく

 

人を殺すなはわかっている

私に何があるか

殺されるかもしれない私に

何があるか

 

強い叫びだけが突き上げる

 

バンザイ

バンザイ

 

生まれてしまって

こんなに溢れて

行き先がわからない

 

バンザイ

バンザイ