【詩作品】代わりなきもののあふれて
重い絶望を私だけが抱え込んでいるような
そんな気分になる時があり
そんなはずはないと思うが
私自身の気分を
誰も代わりに担うことはできない
バスも夜の光も
私と同じこの夜のシステムだ
隣に誰がいたとして
その声が届いていたとしても
私はあまりにも自分だけで
自分を抱えることができない
この辺りはどのあたりかわからない
誰もが談笑している
私はふらふらしている
いまどうすればいいのかわからない
どの方向に行けばいいのかわからずに
道を歩き出している
少しずつ漏れ出した
私の液体は
誰をも浸すことなく
夜の底を滑っていく
孤独は趣味ではない
ただ取り換えが聞かないのだ
私は花に包まれる
この位置に私がいることの絶対が重い
自分がここにいるということの責任と
その責任を捨ててしまいたいという
涙
音楽も言葉も
私を忘れさせるものはない
その重い頭で
暗い未来を描いているの
その暗い未来を
誰の頭に押し付け
誰のくちびるに押し込むの
ちがう
ちがう
すべての人の口や毛穴から暗い未来が
流れ出して
この夜の帳はどこまでも広がっていく
政治も
正義も
科学も
あなたの善き心をもってしても
これをおしとどめることはできない
生れてきたからここにいるのか
生れてきたときと
今の私はつながっているのか
へその緒を切ったとき
私の体重は
どこを目指して
滑り落ちていったのか