細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】懸け橋でありますようにと

僕は汚染されているのであろう

 

感情から僕を守ることができない

絶えざる現在の侵入から僕を守ることができない

気まぐれな過去が襲ってくる

どうしたら僕はそこから逃げられるだろう

 

このはるばるとした草むらは何か

この山はどこまで大きく

いつ消えてしまうのか

 

緑が揺れる時その風は死をも運んでいる

風は命と死を運ぶ

風は意味のない、しかし意志のようだ

意志とは方向性そのものである

風こそが右とか左を決めているのではないか

僕らには右とか左とかを決める権利がないのです

 

もはや風の帝国ではないか、この世は

 

僕は歩きながらこの光と風に揺らめいている

僕の境界線はあいまいだが

この世界は境界線だけが命である

つまり僕は他人にとってリスクであり

暴力であり

僕は他人や異なる時間の侵入を避けることができない

 

僕が他人の言葉を聴くとき

その言葉が僕の皮膚を刺す

僕は裸で冬空にいるように鳥肌で

全身がしびれている

あなたの言葉が苦痛とともに僕を突き抜ける

僕は絶叫して

あなたやあなた方をはねのける

この部屋は電流が流れる

僕の頭はしびれてしまう

 

愛されても愛されなくても

僕はもう見えなくなる

あなたを傷つけたか

どんな幸せを感じたか

もはやすでに見えない

 

電流と風によって

僕はあなたの姿を見失う

明日はわからない 今日が通り過ぎてはいかない

明日がとても遠く感じる

誰にも会えないと思う

暗闇の彼方に、見失ってしまう

確かなものが何もない世界で

僕は文字をディスプレイに打ち込んでいる

 

この文字に僕の確かさが宿りますように

この文字が明日のあなたとの

みんなとの懸け橋でありますようにと

 

風の帝国で

文字は日ごとに薄れていく

僕は失われる

あなたも彼らも誰もが歴史から消えていくのです

そんな大げさな

僕らは失われる

誰も失いたくないと願っている

 

このうちつける文字が

懸け橋でありますようにと