細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】答えのある答え

この世界にはたくさん答えがあるから

目をつぶっても耳を塞いでも毛穴から

答えが入ってくる

洗顔の際に皮脂あぶらを取り過ぎたら

乾いた肌に答えが張り付いてくる

答えがなんでそんなに欲しいの?

試験があるから

オバケにゃ学校も試験も何にもないらしいが

私たちは生きているから

生きているとなんで試験するの

誰かを落とさないと生きる喜びを味わえないから

落ちた人間は別の生きる喜びを味わうらしいよ

生きる喜びって何?

セックスが気持ちよかったり悪かったり

つまらなかったり

まあまあだったり

セックスなんかしたくなかったり

お茶を飲みに行こうとして財布を

忘れたり

紙の手触りに、あの日の図書館で

君に会えなかったことだったり

するらしいよ

なんだ生きる喜びには答えがないな

いやいや、答えしかないんだよ

私が父を呼んだ時

私の質問には答えなかったんだよ

あの山は白くてさ

ずっとずっと私は雪がどこからくるんだろうって

思っていた

私は窓の外を見ていた

父は私たちを車に乗せて冬山に私たちを

連れていったよ

そしたら雪山って言っても

ベタベタの雪だけど

楽しかったよ

生きてるって取り止めがないね

文化とか伝統とか確かではないかな

そんなことはないんだよ

サムライも村人も

さみしかったし、帰らぬあの人を思って

山を見つめていたんだな

山には答えがあるわけじゃない

答えの向こうにも答えがあって

その答えも答えだ

山には木があって落ち葉があって

落ち葉が土になるだろう

土から木は栄養をもらうだろう

答えの答えも答えで

永遠になるんだな

永遠ってさ、キリがないんだね

生きることは一回一回に答えがある

答えがなくてもさ、答えがいつか来る

だけど人間が死んで

自然の循環の一部になると

答えは答えを無限に含んで

答えと自分の距離はなくなるんだ

そこには問いがないんだよ

寒い冬の朝に

すでに冷たくなった人がいて

私はそれを知らない

わからないんだ

答えがあるなしじゃないな

ずっとずっと遠く近いのかな

親父の親戚もこの寒さで亡くなったさ

こうやって

私はなんだろう

答えのなさを耐えている

私はいつだってこたえがほしい

アスペルガーだからかな

だけど答えはこないな

答えがないから待つんだな

待っても答えがないから行き暮れている

ある意味では答えは出ている

切ないよ苦しいよ

こんなにも そうなのかな

私はこんな私でもこんなでない私もダメかな

否定されてもまだ生きているかな

鳥が墜落して

私の目は凍っている

寒いなあ

まだ生きているなんて

不思議なもんだ