細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】さみしい街角

壮大な空ですよ
夏の空は
その前で僕はメルトダウンしてしまいます


思い出してみたら僕はいつもメルトダウンしていた
こんなに固い人間が融けてしまうなんて
固いから融けるんですかね
氷もすぐ融けてしまうじゃないですか



僕はこの存在をどう意味づけたらいいんでしょうか
誰に意味づけてもらっても嫌なんだけど
自分で意味をつけるなんてね すごく
すごーく時間がかかるよ


いつも気が遠くなっているよ
僕はたった1メートル66センチに過ぎないのに
僕は虫や砂粒に比べれば大きいけど
あいつらは味方がたくさんいる


しかし僕の仲間である人間というもの
これは本当に僕の仲間なんだろうか


人間の真似をして生きてきた
だけど人間の真似に過ぎないので
人間でないことがばれているような気がした
あなたは特別ではないよといわれるたび
僕は変なんだよという叫びと
僕は君と全く同じで
溶けあいたいだけです
というつぶやきが
それぞれ別の方角から僕の耳に入った


銀行の前を歩いている
君もなかなか人間の真似がうまくなったねと
白くてかわいい犬の形をした先生が僕に微笑む
あなたは先生ではないですか
先生ご無沙汰しています
といおうとすると
先生は向こう側の世界へと突き抜けて消えて
子犬がおじさんと歩いている


子犬は一生懸命おじさんを励ましている
鼻をつんつん当てて
僕はこの世界でどこにいたらいいんだろうと
あちこちから聞こえてくる放送や車の音の嵐に
足を取られて
かきけされた雲のように息をしながら
歩いているしかなかった