細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

都構想における橋下市長と菅官房長官の連携ともとれる姿勢は、地方自治の観点から理解に苦しむものです。

官房長官の、都構想への不可解な対応。
私は安倍政権や橋下維新に批判的ではありますが
そういう私のバイアスを考慮してもいま橋下市長と菅官房長官の間に起きていることは慎重さを欠いた逸脱ではないかと思うのです。

都構想に反対する自民党大阪府連は、共産党など野党と合同で街頭演説を行っている。菅氏は大阪府連の活動について「全く理解できない」と批判した。

 これに対し、自民党の谷垣幹事長は11日の記者会見で、「(府連は)維新ができて苦労が続いた。議員たちは今、必死の戦いをしている。大きなシンパシーを持っている」と述べ、府連の対応に理解を示した。

2015年05月11日 19時06分
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150511-OYT1T50088.html?from=tw

大阪市地方自治の問題ですから地方議員に任せず政府の事実上のナンバー2として干渉するのは極めて憂慮すべきことではないでしょうか。
官房長官の好き嫌い、安倍政権の評価以前の問題です。
地方自治体の問題は地方自治体が決める。
今回は住民投票にまでなっている。
そこに政府がどちらかに加担する発言をしたら有権者は混乱するのではないでしょうか。

それに野党と連携している事実も批判しているわけで、これでは
官房長官が中央から地方の議員の活動を攻撃しているようにしか見えないわけです。

そういう事実認識から自民党の谷垣幹事長も地方議員の活動に理解を示しているのではないでしょうか。

これは政府と地方自治との関係においてもゆゆしき事態です。

これは、安倍首相が狙う改憲のために、橋下維新と、大阪「都」構想と改憲賛成を交換条件にする話があるからです。

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/d3650e82eec4d62a62d1d7e4d0ec1479

そしていま安倍、菅官邸ラインはこういう批判すら受けています。
どこまで事実かはわかりませんが
こういう指摘を受ける危うさが官邸にはあると見られているのではないでしょうか。
それは以前橋下市長が「都構想の住民投票憲法改正の予行演習」といったからです。
橋下市長の発言不可解ではないですか。
落ち着いて考えれば変です。

大阪市の自治のありかたを憲法の改正と結びつける、そのようなことを官邸あるいは橋下市長が考えて居るとすればこれはとんでもない筋違いです。

例えば憲法の改正に賛成をしている人がいたとしても、それは大阪市が廃止されるということは別枠で議論すべきと考える人もいるでしょう。
あるいはそれは憲法改正に反対でも大阪市のありかたはそれ単独で考えたいと思うでしょう。

国のありかたと地方のありかたをごちゃまぜにして議論してはいけないはずです。

自民党国会議員はこのように発言しています。

中山泰秀自民党衆院議員(大阪4区)

 (「大阪都構想」の是非を問う住民投票維新が作ったチラシについて)総理と菅官房長官の顔が入っていて、「私たちも都構想の意義を認めています」とある。いくら味方していないとはいえ、官邸の顔がこれだけ出ていて、どういう風に私たちは対処すれば良いのか。せめて、後ろからピストルの弾を後頭部に撃つのだけはやめてほしい。

 党本部、官邸から私たちに対して非常に冷たい風が流れてきている。沖縄の県知事選、佐賀の県知事選、そして今回の住民投票。地方の声を聞くはずの自民党が東京だけで、中央だけで政治が動いていくと思っているのだったら、自民党は地方からどんどん潰れていくと思う。(派閥の会合で)
http://www.asahi.com/articles/ASH5G53F0H5GUTFK007.html

地方の声を聞かずに官邸や党本部が進めるのは危険ではないかとこういう指摘です。

しかし

 菅長官は会見で「橋下氏から電話があったことは事実だ」とした上で、「都構想は二重行政の無駄を撲滅するものだ」と強調。自民党府連と共産党の「都構想阻止」での共闘に、自民党議員が共産党街宣車に乗って(運動を)やることはあり得ない」と重ねて不快感を示した。
 橋下氏も14日夜、大阪市内で記者団に「お礼の電話はした」と説明。「官邸サイドが旗を振って『反対』と明言すると、自民党支持層で都構想の賛成に回ってくれる人がぴたっといなくなる」と菅氏の対応を評価した。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505%2F2015051500372&g=pol

官房長官が橋下市長から電話を受けたことを明らかにしています。
さらに二重行政解消というほとんど論破されている議論をいまだ菅官房長官がふりまわしているのは、官房長官のご見識を疑わせるものです。
二重行政については評価、解釈についていろいろあるとはいえ
単に府と市が病院や体育館をそれぞれに運営していてそれぞれに利用者がいるのにもかかわらず無駄だ一元化しろという乱暴な議論を橋下維新の側がしていて、それは乱暴すぎるのではないか、大阪市を廃止分割するほどの根拠はないのではないかと指摘されているのです。

さてさらに問題なのは橋下市長が官邸に都構想を応援させるようなことをいっていることです。
橋下市長は本当に大阪市のことを考え、慎重に考えるなら政府の干渉を小さくするのが筋のところそうではないのです。
まったく不思議な方です。
というか、都構想のためならなりふりかまわないのでしょうか。

さらに菅官房長官の認識の問題が指摘されている動画もあります。

拝啓、菅官房長官様 (架空手紙) https://youtu.be/QZPUQgE5UcA @YouTubeさんから

この動画で菅官房長官は横浜より大阪市の職員のほうがべらぼうに多いとして都構想を支持するが、実は職員の数を間違って認識しているという指摘です。

官房長官は現状をきちんと把握されて、事態の客観的把握をすべきではないでしょうか。