細々と彫りつける

Concerning poetry,radioactivity,disability,and so on(詩、放射能汚染、障害などについて)

【詩作品】肝心なものが壊れてる

考えると、頭の中で、よくない流れが

おきますから

考えるのを止めてみます

 

しかしヒトは考えるのを完全に止めることは

できないのです

 

風が吹くとき、風と私の耳と肌は考えようとします

ざらざらばばばばごー

 

山なりになったあたたかさが

冷たい壁に出会います

 

私はいつも一人だったのでしょうか

どんなに近づいても

他人の裏腹はわからないのです

肌を合わせても

同じ空を感じていても

向こう側に見えるものが

私には見えていません

「目が見えない」になぞらえるなら

私は「心が見えない」のでしょうか

 

信じていてくれる、ということが

わからないのです

私がヒトを信じるということが

わからないのですから

信じるが壊れているのですから

 

どのくらい壊れているか

何十年もわかりませんでした

どうせ繋がらないなら考えないこと

と思っていました

 

ずいぶん寂しい時間を過ごしてきました

 

畑が見えて、川を渡る橋にたどり着きます

綺麗な流れに小さな魚が遊んでいます

何億年と存在する奇跡

と感嘆しようとして

私は私の存在の壁にぶつかりました

 

私の脳は重く

他人はこんなに頭が重いのかと感じました

頭が重く

居心地が悪いなら

景色がいくら美しくても

私は落ちつきません

 

旅に行っても

体や頭がギシギシしていました

あたたかいものに守られなければ

とても生きられないのだと

思いました

 

私は

気が弱いから他人といられないのだと

思っていました

しかし私は人間仲間の波長がわからないのでした

好かれているか嫌われているか以外の

微妙な波長が読み取れません

しばしば、シロかクロかをはっきりさせようとして

他人の意図が余計にわからなくなりました

 

私は人間関係の遭難者になりました

 

遭難して もう人間はいやだと一人合点しました

 

私は孤立しました

本を友達にしたら良いと思いました

言葉と友達になろうと思いました

 

しかし言葉をいくら覚えても

あたたかさが

わからないのでした

わからないのだけど

欲しいのでした

 

公園に着きました

公園からは美しい蒼穹が見えます

葉が黄色くなり、カリカリに乾いて

カシャカシャと

砂の上を舞うのでした

 

私は砂漠で悪魔とたたかった人を

思いました

私は悪魔でも人間でもないのではないか

と思いました

隔てられたひとつの

脳みそとして

風に吹かれているのでした